2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18390490
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
穂積 信道 東京理科大学, 生命科学研究所, 教授 (60051744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 光浩 東京理科大学, 生命科学研究所, 助手 (00321662)
渋井 秋子 東京理科大学, 生命科学研究所, 助手 (50313846)
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Keywords | Notch1 / DAPT / LBMC / 間葉系幹細胞 / 骨形成 |
Research Abstract |
我々は、形態形成分子、Notch1、が骨芽細胞の分化を促進するが、軟骨細胞の分化を抑制することを見いだしている。そこで本年度は、より生体内環境に近い条件下におけるNotch1の軟骨形成に対する機能を解析するために胎生12.5日目のマウス肢芽からLimb Bud Micromass Culture(LBMC)を調整し、Notch1が軟骨細胞分化に与える影響を解析した。哺乳動物の長管骨は、軟骨内骨化により形成される。まず骨形成予定領域で間葉系幹細胞が凝集し、軟骨細胞の分化がはじまり、さらに骨芽細胞による骨基質形成により軟骨基質が置き換えられ骨が形成される。LBMCはマウスの胎生時における初期骨形成の過程を再現できる貴重な実験系である。PCR法によりLBMCで発現する遺伝子を解析した。LBMC開始3-5日目からNotch1の発現が上昇し、10日では発現はかなり減少した。またリガンドであるDelta1,Jagged1はそれぞれ3日目、5日目でそれぞれ最高点に達し、10日目では減少していた。活性型Notch1は間葉系細胞凝集により形成される結節の周囲に強い発現が認められた。さらにg-secretase inhibitorであるDAPT用いてNotch1の機能を詳しく解析した。DAPTはNotchの細胞質内ドメインを切断し、活性型Notchの産生を誘導するg-secretaseを抑制する。DAPT処理LCBMでは活性型Notchの明らかな減少が確認された。また、3日目までには、細胞凝集、結節形成の増加が認められた。軟骨基質を染色するアルシアンブルーによっても、軟骨基質の増加が観察された。さらにアデノウイルスベクターで活性型Notch1遺伝子をLBMCに導入したところアルシアンブルー陽性領域の著名な減少がみられた。DAPT添加により初期軟骨形成に産生される2型コラーゲンa1遺伝子の転写増加、Sox9遺伝子の発現上昇が確認された。これらの結果はNotch1は、軟骨形成をネガティブに制御していることを示している。このプロジェクトのさらなる発展は、軟骨形成制御のみならず骨形成の分子機構の解明に重要な貢献をするものと考える。
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