2007 Fiscal Year Annual Research Report
肥満やインスリン分泌異常を引き起こす新規分子の役割解明研究
Project/Area Number |
18390494
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
兼松 隆 Kyushu University, 大学院・歯学研究院, 准教授 (10264053)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩井 誠次郎 福岡大学, RIセンター, 助教 (80423531)
|
Keywords | ノックアウトマウス / 高インスリン血症 / インスリン分泌 / β細胞 |
Research Abstract |
我々は、PRIP分子を新規イノシトール1,4,5-ニリン酸結合性タンパク質として見出し、その細胞内機能の解析を行ってきている。これまでに、PRIP遺伝子欠失がGABA_A受容体を介するシグナル伝達機構に異常をもたらすことを突き止めた。さて、哺乳類のPRIPには二つのサブタイプ(PRIP-1,PRIP-2)があり、その発現パターンには以下の特徴がある。PRIP-1は脳特異的に発見している。一方、PRIP-2は、脳を含めて様々な臓器に発現している。このことから、PRIPは中枢神経系において抑制性神経伝達機構を調節するという機能に加え、他にも何らかの全身的な調節機能に関わると我々は想定した。そこで、PRIP-1/-2ダブルノックアウトマウス(DKOマウス)を作製し、解析を行った。 DKOマウスは、雌雄に関係なく過食であり、継時的な観察から雌では肥満傾向がみられた。また、自由摂食時及び絶食時に、DKOマウスは低血糖を示した。そこで、我々は、この低血糖が過食の一因であると考えその原因を探った。先ずグルコーストレランステストを行い、血糖値と血清インスリン濃度を測定し、対照野生型マウスと比較した。DKOマウスの血糖値変化は、野生型に比べて常に低い値を示し、その時の血清中のインスリン濃度は、野生型に比べて常に高い値を示した。これは雌雄共に同じ傾向であり、統計学的にも野生型に対して有意な差があった。また、マウスから調製したラ氏島においても高グルコース刺激により、インスリン分泌の亢進を確認した。以上より、DKOマウスではグルコース依存的なインスリン分泌促進作用があることが明らかとなった。さて、開口放出過程にはSNARE関連分子がかかわることが知られる。我々は、既にある複合体の制御分子の機能をPRIP分子が調節することを見いだしている。
|