2006 Fiscal Year Annual Research Report
TGFーβによる上皮間葉移行の分子機構解明に基づく口腔癌細胞の浸潤転移機構の理解
Project/Area Number |
18390496
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 正夫 東京大学, 大学院医学系研究科, 助手 (90345041)
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Keywords | TGF-β / 上皮間葉移行 / シグナル伝達機構 / Snai1 / SIP1 / 転写因子 / E-cadherin |
Research Abstract |
TGF-βは受容する細胞によって応答性が異なる。一般に上皮系の細胞には細胞増殖抑制作用を惹起し、間葉系細胞には増殖促進を誘導する。また癌環境においては、初期では癌の増殖を抑制し、進展した環境では悪性度を憎悪するように働くことが近年、明らかになってきている。癌細胞が浸潤する際、一部の細胞は間葉系様の細胞に変化(EMT:Epithelial mesenchymal transition)し、浸潤や環境からのストレスに抵抗性を獲得している。TGF-βはEMTを強く誘導するサイトカインの1つであり、EMTを獲得した癌細胞はTGF-βによる増殖抑制作用を回避し、細胞増殖作用へと移行し、悪性度を高めている可能性があるため、その分子機構を検討した。上皮細胞であるNMuMG細胞を用いて検討すると、TGF-βによってEMTが誘導され、指標となるE-cadherinの発現抑制やN-cadherin、vimentinの発現上昇を認めた。これらの分子機構が、SIP1/ZEB1遺伝子がTGF-β-Smadシグナルによりに間接的に上昇し、E-cadherinの転写のみを制御していることが、過剰発現系やノックダウン細胞での解析から明らかとなった。さらにSIP1/ZEB1遺伝子の発現機構を検討するために、そのプロモーター配列やマイクロアレイの結果を下にEts1に着目し解析を行うと、Ets1がTGF-βによって発現が上昇し、ZEB1/SIP1の発現上昇を介してE-cadehrinの発現を抑制することが判明した。一方bHLH型転写因子のId2はTGF-βによるE-cadherin制御を抑制することを既に報告しており、現在これら分子機構に関して研究を続けている。
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Research Products
(1 results)