2007 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-βによる上皮間葉移行の分子機構解明に基づく口腔癌細胞の浸潤転移機構の理解
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18390496
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 正夫 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 助教 (90345041)
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Keywords | 上皮間葉移行 / EMT / TGF-β / Snail / SIP1 / ZEB1 |
Research Abstract |
TGF-βに誘導されるEMT(上皮間葉移行)のメカニズムを検討するに当たり,複数種の細胞株を用いてTGF-βによるEMTを比較検討し,最も誘導が強かったNMuMG細胞を用いた。評価系は上皮系の代表的マーカーであるE-cadherinと間葉系のマーカーであるN-cadherinやfibronectinの発現変化とし,分子生物学的に解析を行った。 E-cadherinは上皮細胞の代表的な接着分子であり,EMT獲得に伴いその発現が抑制されることから,EMTの代表的な指標の1つとなっている。これまでにE-cadherinは転写調節での解析が多くなされ,主だったものとして,Znフィンガー型転写因子であるSnail/SlugやδEF1ファミリー,bHLH(basic helix-loop-helix)型転写因子であるE2A,Twistなどが挙げられる。これら因子の発現を経時的に解析したところ,δEF1(delta-crystallin/E2-box factor 1)ファミリーに属する2つの転写因子(SIP1/ZEB1)のみがE-cadherinの発現低下と逆相関していることを見出した。そこで,これらを過剰発現させるとE-cadherinの発現が低下し,さらにSiRNAでノックダウンさせるとTGF-βによるE-cadherinの抑制が解除された。一方でfibronectinやN-cadherinなどの間葉マーカーの発現には全く影響が認められなかった。したがって,TGF-βのEMT時におけるE-cadherinの制御はδEF1が深く関与することが明らかとなった。またEMTで最も重要な因子とされるSnailはTGF-βによって発現が速やかに上昇されるがいSnailのノックダウン細胞でもTGF-βによるEMTが認められることから,Snailの関与は低く,現在も解析を進めている。
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Research Products
(4 results)