2008 Fiscal Year Annual Research Report
歯質接着界面のバイオデグラデーションへのナノレベルでの検索とその制御
Project/Area Number |
18390502
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐野 英彦 Hokkaido University, 大学院・歯学研究科, 教授 (90205998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 哲 北海道大学, 病院, 講師 (80184745)
野田 守 北海道大学, 病院, 講師 (10301889)
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Keywords | バイオデグラデーション / 接着界面 / ナノテクノロジー |
Research Abstract |
長期水中保管した試料が、水分の影響を受け劣化していることが電子顕微鏡的な観察から明らかになり、特にレジン成分とコラーゲン線維がともに劣化することが明らかとなった。そのため、脱灰の強いウエットボンディング系の接着材は、象牙質接着の長期耐久性という観点からは不利であることが明らかになった。ナノレベルでの接着界面の劣化の制御に関しては、日本で開発が続けられているナノインタラクションゾーンを形成するような接着のアプローチが必要であることが判明した。一方、世界的にはウエットボンディングが多くの場合に利用されているため、ウエットボンディングが存在している限り、何らかの形でウエットボンディングを改良していく必要性も認められた。 今回の研究から、新たなナノテクノロジーの応用として、平均粒径2ナノメートルの「白金ナノコロイド」をプライマーとして用いることで、4META-MMA/TBBレジンの接着強さが倍増することを見出した。この結果に関する詳細なメカニズムは不明だが、接着界面の重合性を高めている可能性があり、接着耐久性の向上に寄与する可能性が高い。ウエットボンディング系にもこのナノコロイドが有効であることが認められた。今後は「ナノテクノロジーの接着歯学への応用」が重要な研究テーマとなる可能性が示唆された。その際、臨床応用に向けた詳細な検討が必要であり、臨床で使用可能な簡便な使用条件設定の決定や長期耐久性の検討が必要である。加えて、臨床応用に向けこの材料が生体に対する影響を培養細胞や成体での検討も必要である。
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Research Products
(1 results)