2007 Fiscal Year Annual Research Report
根尖性歯周炎を難治化・慢性化する根尖孔外バイオフィルムの抑制法の開発
Project/Area Number |
18390505
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野杁 由一郎 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 助教 (50218286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
恵比須 繁之 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50116000)
阿座上 弘行 山口大学, 農学部, 准教授 (40263850)
薮根 敏晃 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (90423144)
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Keywords | 根尖孔外バイオフィルム / 感染根管 / Porphyromonas gingivalis / グリコシルトランスフェラーゼ / Gingipain / Er:YAGレーザー / 難治性根尖性歯周炎 |
Research Abstract |
難治性根尖性歯周炎に関連するPorphyromonas gingivalisの381株よりグリコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子(gftA)の欠損株(RE1株)を作製し,RE1株における赤血球凝集活性,Gingipain活性,およびGingipainとmRNAの発現量について検索した。RE1株では,親株に比べて赤血球凝集活性およびLys-gingipain活性の低下が認められた(p<0.001)が,Arg-gingipain活性に有意な差はみられなかった。また,RE1株ではLys-gingipainの発現量が有意に減少したが,Lys-gingipainのmRNAの発現量は有意に増加していた(p<0.001)。これらより,P.gingivalis RE1における赤血球凝集活性の低下はLys-gingipain活性の低下に起因すると推察され,gtfAはLys-gingipainの転写後タンパクになる過程に必須の遺伝子であることが示唆された。 根尖孔外バイオフィルムの微細形態学的検索およびその構成細菌種の遺伝子解析法による同定,ならびにin vitroでのガッタパーチャポイント(GP)へのバイオフィルム形成能の検索等の一連の研究成果より,根尖孔外バイオフィルムの形成メカニズムについて仮説を提唱した(日歯保誌,50.2007)。すなわち,GP表面を足場として血液や滲出液の存在下でグラム陽性菌がマイクロコロニーを形成し,それらの細菌とグラム陰性菌が共凝集し,混合菌バイオフィルムが形成される。さらに,根尖孔を介して根尖孔外に進展し酸素分圧の低下とともにグラム陰性の偏性嫌気性細菌を主体とするバイオフィルムが根尖孔外に形成されるというものである。現在,根尖孔外バイオフィルム中の未同定細菌種を同定するとともに,難治性根尖性歯周炎罹患歯に対するEr;YAGレーザーの効果を検索中である。
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Research Products
(9 results)