2006 Fiscal Year Annual Research Report
形状記憶ポリマーを用いた生体機能材料の開発と根管充填への応用
Project/Area Number |
18390507
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
塚田 岳司 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (70236850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蟹江 隆人 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (70152791)
鳥居 光男 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30116066)
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Keywords | 形状記憶ポリマー / トランスポリイソプレン / 変形回復力 / 根管充填剤 / 暫間被覆冠 |
Research Abstract |
形状記憶ポリマー作製は、トランスポリイソプレン100に対して、酸化亜鉛30、ステアリン酸1、そして架橋剤として硫黄、ジクミルパーオキサイドを配合した。まず、これらの混練りを行った後、加熱軟化して金型に填入し、100%窒素雰囲気中で150℃、30分間加熱処理を行い、トランスポリイソプレン間を架橋させることによって、形状を記憶させた直径6mm、高さ8mmの円柱状の試料を作製した。この円柱状の試料を長軸方向に30%圧縮変形し、5℃空気中で変形を固定した。この変形を固定した試料の変形回復応力の測定を0〜55℃の温度範囲で行った結果、トランスポリイソプレン100に対して、架橋剤である硫黄、ジクミルパーオキサイドの配合をそれぞれ0.5、3から増加させていくと変形回復温度は次第に低下し、1.25、7.5〜1.5、9では、室温(24℃)から口腔内温度(37℃)での温度範囲で変形回復が可能となった。また、0.5、3〜1.25、7.5の範囲では、架橋剤の配合率の増加にともなって、回復応力も増加した。しかしながら、架橋剤の配合を、さらに1.33、8〜1.5、9と増加させていっても、変形回復温度、回復応力ともにあまり変化は認められなかった。また、変形固定を行った試料を5℃空気中に保存し、1日後と6ヵ月後にそれぞれ変形回復温度と変形回復応力の測定を行ったところ、有意差は認めず、形状記憶機能は長期にわたって持続した。次に形状記憶ポリマーの暫間被覆冠への応用を試みた。まず、キャップ状の形状記憶機能を持った暫間被覆冠を作製し、この試作の暫間被覆冠を80℃空気中で加熱軟化しながら、顎模型上で形成した下顎右側第一小臼歯の支台歯(ミラニン歯)よりやや径の大きな器具を用いて冠の内部を拡大し、5℃空気中で10分間の冷却により変形の固定を行った。この変形の固定を行った暫間被覆冠の歯頚部を、支台歯の形態に適合するようにトリミングを行い、支台歯に被せた後、顎模型を咬合させ、37℃の空気中に保存し形状回復を行ったところ、支台歯によく適合し、漏洩試験でも、良好な封鎖がえられた。
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