2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子認識機構によるβデフェンシンの口腔内誘導を利用した歯周病関連細菌の抑制
Project/Area Number |
18390516
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
二川 浩樹 広島大学, 歯学部, 教授 (10228140)
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Keywords | 唾液 / βデフェンシン / 歯周病 / ガム / クエン酸 |
Research Abstract |
我々はこれまで,口腔内上皮細胞の自然免疫の分子認識機構について検討し,細胞間接着分子の一つであるICAM-1による微生物の認識メカニズムを新たに見出し(Infect Immun,73:622-6,2005)さらに,分子認識の際には,Toll-like receptor 2のupregulateが起こり(unpublished data),それに伴いβデフェンシン2が分泌されることを明らかにしている. このようにして分泌されるβデフェンシン2は,上皮細胞だけでなく歯根膜細胞にも存在しており,歯周病予防の一手段としても使用できる可能性がある.我々は,Toll-like receptorによる分子認識機構を応用すればこのようなβデフェンシン2を効率的に口腔内(唾液中)へ誘導できるのではないかという仮説の下で検討を行ってきた.本年度は,いくつかの食品成分に付いて健康を行い,その結果,酸による誘導作用が非常に強いことと見つけることに成功した.従って,有機酸11種類について,その唾液誘導能と唾液中へのβデフェンシン2の誘導能についてELIZAにより,男性3名,女性3名(mean age 37.8±3.5)の計6名の被検者を用いて検討を行った結果,唾液分泌誘導能は酒石酸が最も高く,この一方でβデフェンシン2の誘導能についてはクエン酸が最も高いことが明らかとなった. このデータをもとに,硬さや保存能も踏まえながら,試作ガムの作製およびコントロールガムの作製に成功した.次年度は,このガムを用いてβデフェンシン2の歯周病菌バイオフィルムに対する作用をin vivoのコホート研究により検討する予定である.
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