2008 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞の殺癌細胞遺伝子の操作による抗癌剤のアポトーシス増強に関する研究
Project/Area Number |
18390532
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
越後 成志 Tohoku University, 大学院・歯学研究科, 教授 (70005114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
力石 秀実 東北大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (70091767)
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Keywords | p53 / CDDP / 5-FU / エピジェネテイクス / 小胞体 / 口腔癌 |
Research Abstract |
口腔扁平上皮癌細胞株(HSC-3, -4)、およびp53野生型の肺癌細胞株A549、乳癌細胞株MCF-7を用いて、エピジェネテイクス制御化合物であるZebularine(ZEB)とsuberoylanilide hydroxamic acid(SAHA)と各種抗癌剤(CDDP, 5-FU, VP-16)の併用効果によるアポトーシス誘導効果、およびそのメカニズムを検討した。 本年度の研究より、以下の興味深い新知見が明らかとなった。ZEBやSAHAによる抗癌剤の増強作用は、併用する抗癌剤、細胞種により異なった。CDDP/SAHAの組み合わせは、HSC-3細胞のアポトーシスを有意に増強した。この増強には、SAHAが小胞体にストレスを与え、小胞体経由のアポトーシスが関与していることが示唆された。一方、5-FU/ZEBの組み合わせでは、逆に5-FUの細胞毒性を減弱し、そのメカニズムとしてZEBによるCREBのリン酸化が関与していることが示唆された。 20年度の研究実施結果により、口腔癌の抗癌剤感受性にはエピジェネテイクス制御が関与し、ZEBやSAHAと抗癌剤の併用は薬剤感受性増強に有効であることが示唆された。しかし、その併用効果は、併用する抗癌剤の種類、細胞種により異なり、抗癌剤の代謝や抗腫瘍効果の作用機序に依存していることが推察された。本研究成果は、薬剤併用による思いがけない副作用を回避するために非常に重要な意義をもつ。
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