2008 Fiscal Year Annual Research Report
学習・記憶増強酵素スルフォトランスフェラーゼの発現調節と麻酔薬による修飾機序
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18390539
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
糀谷 淳 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (60304325)
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Keywords | スルフォトランスフェラーゼ / ニューロステロイド / 学習・記憶 / NMDA受容体 / 麻酔薬 / 全身麻酔 / 一酸化窒素 / グリア細胞 |
Research Abstract |
硫酸プレグネノロンはグリア細胞で産生され、海馬においてNMDA受容体の活性化を介して記億パフォーマンスを向上し、学習障害を改善するニューロステロイドである,硫酸プレグネノロンは、プレグネノロンを基質としてステロイド代謝酵素スルフォトランスフェラーゼ(SULT)により生合成される,本研究は、学習・記憶パフォーマンスを向上するニューロステロイド硫酸プレグネノロンの産生を触媒するSULTのアイソフォームSULT2B1aの発現調飾機構を明らかにすることを目的とした. C6グリア細胞を外因性NOドナーであるsodium nitroprusside(SNP;30〜300μM)に8時間暴露したところ、nitriteの発現は濃度依存的に増加した.lipopolysaccharide(LPS;1μg/ml)とtumor necrosis factor (TNFα;120.240ng/ml)を投与し誘導型NO合成酵素(iNOS)を誘導したところ、24時間後のnitriteの産生は濃度依存的に増加した.また興奮性アミノ酸受容体の脱感作を予防するcyclothiazide(100μM)の存在下でグルタミン酸(100〜1000μM)に暴露し神経型NO合成酵素(nNOS)を活性化したところ、8時間後のnitrite産生量は濃度依存的に増加した.次にC6グリア細胞を静脈麻酔薬ミダゾラム(1-100μM)に2時間または4時間作用させたところ、ともにSULT2B1a遺伝子の発現を濃度依存的に抑制した. 以上の結果より、C6グリア細胞株におけるSULT2B1a遺伝子の発現は興奮性アミノ酸受容体を介する細胞内NOシグナル伝達により調節されること、静脈麻酔薬ミダゾラムは臨床使用濃度の短時間暴露でSULT2B1a遺伝子の発現を抑制することが明らかになった.
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