2008 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌患者のToll様受容体関連遺伝子の包括的解析と個別的免疫療法の開発
Project/Area Number |
18390543
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
岡本 正人 Musashino University, 薬学研究所, 客員教授 (10243718)
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Keywords | 口腔癌 / 癌免疫療法 / TLR / BRM / 個別化治療 |
Research Abstract |
癌治療において免疫療法が注目されている。これまでの研究において、我々は、癌免疫療法剤(BRM)の効果発現に、Toll様受容体(Toll-like receptors:TLRs)を介したシグナル伝達系が重要な役割を演じている事を強く示唆する結果を得ている。本年度は、前年度に引き続き、口腔癌患者の末梢血単核球(peripheral blood mononuclear cell:PBMC)においてTLR関連遺伝子の解析を行なった。癌免疫療法剤OK-432を含む治療を受けた口腔癌患者50名中TLR関連遺伝子に異常の無かった44例中23例で腫瘍完全緩解(CR)を認めたのに対し、TLR関連遺伝子の欠如(TLR2,TLR4,TLR9,MD-2)が認められた6例では、CRは0例、全症例が部分緩解(PR)であった。治療前に頸部リンパ節転移を認めた口腔癌患者29例中TLR関連遺伝子に異常を認めなかった23例中12例で放射線+化学療法+免疫療法剤OK-432による治療後リンパ節転移の消失を認めたが、TLRs遺伝子以上を認めた6例で全ての症例で治療後もリンパ節転移が残存していた。TLR関連遺伝子以上が治療効果に重要な影響を及ぼす事が強く示唆された。特にTLR4関連遺伝子の異常が治療効果に強く影響を及ぼしていた。In vitro実験において、アンチセンスオリゴヌクレオチドや中和抗体を用いて、TLRシグナルをブロックすることにおいて、免疫療法剤によるIFN-γ、IL-12等抗腫瘍性サイトカインの誘導やリンパ球の癌細胞殺傷作用が阻害される事も確認した。OK-432等の免疫療法剤BRMの活性発現には、特に、TLR4を介したシグナルが重要であり、免疫療法剤に反応しない患者には、これら分子の遺伝子導入が効果的であることが強く示唆された。
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