2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18390546
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
桐田 忠昭 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70201465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 昭久 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (60275336)
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Keywords | p53 / アポトーシス / X線 / 重粒子線 / LET / 生物学的効果比 |
Research Abstract |
本年度は、変異型p53遺伝子を有するヒト歯肉扁平上皮癌細胞における重粒子線とX線の殺細胞効果およびアポトーシス誘導を明らかにすることを目的とし、培養細胞に重粒子線およびX線をそれぞれ照射し、殺細胞効果、アポトーシス頻度を比較した。 細胞はヒト歯肉扁平上皮がん細胞Ca9-22を用いた。重粒子線照射は放射線医学総合研究所のHIMACを用い、高LET重粒子線(200KeV/μm・鉄線、13〜100KeV/μm・炭素線)および対照としてX線を照射した。生存率はコロニー形成法で、線量依存的および照射後の経時的なアポトーシス出現頻度はHoechst33342染色蛍光顕微鏡観察法にて解析した。 結果は、X線に比べて炭素線のLETが13〜100KeVと高くなるにつれ放射線感受性も高くなった。200KeVのFe線は炭素線70KeVと近似していた。それぞれの10%生存率はX線で約7Gy、Fe線で約2Gy、炭素線13KeVで約4Gy、30KeVで約3.5Gy、70KeVで約1.75Gy、100KeVで約1.5Gyであった。10%生存率における生物学的効果比(RBE)曲線は100KeV付近をピークとしたRBE曲線が得られた。それぞれのRBEは、200KeV鉄線で3.5、炭素線100KeVで4.7、70KeVで4.0、30KeVで2.3、13KeVで1.75となった。線量依存的なアポトーシス出現頻度の結果は、照射48時間後において線量依存的に増加しており10%生存率となるFe線で約16%、X線で約10%となり、Fe線がX線に比べ1.6倍となった。さらにFe線2Gy、X線2Gyの等線量で比較するとFe線で約16%、X線で約2%となり、Fe線がX線に比べ8倍となった。等線量2Gy照射・48時間後のアポトーシス出現頻度を各LET放射線で調べたところ、先の生存率を指標としたRBEとよく一致してLETに依存して高くなり100KeV/μmがピークとなった。10%アポトーシス出現頻度におけるそれぞれのRBEは、200KeV鉄線で5.0、炭素線100KeVで7.5、70KeVで6.3、30KeVで3.3、13KeVで2.9となり100KeV付近をピークとしたRBE曲線が得られました。 以上の結果より、重粒子線はたとえ変異型p53遺伝子を有するがん細胞においてもX線と比較して少ない線量で効率的にアポトーシスを誘導し、感受性が高くなることが明らかとなった。
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