2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト脱落乳歯歯髄幹細胞の多能性および再生医療への可能性について
Project/Area Number |
18390550
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
三留 雅人 The University of Tokushima, 大医院ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50261318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 哲夫 日本大学, 歯学部, 教授 (00187527)
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Keywords | 移植・再生医療 / 再生医学 / 歯学 / 神経科学 / 発生・分化 |
Research Abstract |
近年、幹細胞を使用した再生医療が注目を集めている。歯髄中にも幹細胞が存在することが示唆されてきたが、ヒトの脱落した乳歯歯髄の中から発見された幹細胞(stem cells from human exfoliated deciduous teeth: SHED、以下SHED)の多能性を検討した。最初に、歯髄細胞の多能性を検討するために、GFPマウスの門歯より採取した歯髄を培養した。培養した歯髄中において、神経幹細胞にみられるネスチンの発現がみられるかRT-PCR法によって調べた。その結果、培養された歯髄中においてネスチンの発現が認められ、歯髄中に神経細胞に分化しうる幹細胞が存在することが判明した。同様の結果はヒト永久歯、乳歯、上顎正中過剰歯の歯髄においても認められ、現在これらの細胞を効率よく分離する方法を検討している。さらに、歯髄中の幹細胞が神経幹細胞に分化転換することを示すために、歯髄を神経幹細胞培養液で培養し、培養神経幹細胞が形成する浮遊細胞塊(Neurosphere)が得られるかどうか検討した。低接着性培養ディッシュを用いて乳歯歯髄細胞を培養すると、浮遊細胞塊が得られたが、形状は不整で神経細胞由来のNeurosphereと異なっていた。現在、この細胞浮遊塊が神経幹細胞の特徴を示すか検討中である。GFPマウス由来の神経幹細胞および歯髄細胞を培養し、小脳延髄槽に移植した。神経幹細胞は移植後、延髄孤束核に特異的に生着し、特徴のある分化動態を示した。一方、歯髄細胞も同様に延髄孤束核への生着がみられた。今後は、移植した歯髄細胞の分化動態を調べ、さらにSHEDの移植により特徴的な分化動態がみられるか検討予定である。
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