2006 Fiscal Year Annual Research Report
Rett症候群モデルによる中枢および顎口腔機能異常の発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
18390551
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
白川 哲夫 日本大学, 歯学部, 教授 (00187527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三留 雅人 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50261318)
本間 さと 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (20142713)
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Keywords | Rett症候群 / 発達障害 / MeCP2 / 視交叉上核 / 前頭皮質 / サーカディアンリズム / 脳 / ニューロン |
Research Abstract |
Rett症候群の発症メカニズムの解明は発達障害児の顎口腔機能の異常や呼吸・発声異常の原因を探る上で重要であり、健常児の口腔機能の発達を理解するうえでも貴重である。 1)Rett症候群の発症にはMeCP2の変異が直接関与していることから、本研究ではまず免疫組織学的手法により、ラットの脳内でのMeCP2の局在を発達段階に分けて調べた。生後1日から3か月までの雌Wistarラットについて、4%パラホルムアルデヒドにて環流固定したのち脳を取り出し、30μmの厚みで連続切片を作製した。ウサギ抗MeCP2抗体(Affinity BioReagent社、およびEpigentek社)を一次抗体に用い、DAB法にてMeCP2の局在を調べたところ、生後1週目以降でMeCP2は主としてニューロンに特異的に発現し、細胞核に強いシグナルが認められた。成熟雌ラットにおいて、MeCP2陽性細胞は前頭皮質に多数認められたが、視床下部、海馬では前頭皮質に比較してMeCP2陽性細胞の数は全般に少なかった。 Rett症候群では睡眠覚醒リズムが不安定であることから、サーカディアンリズムの中枢である視交叉上核でのMeCP2の発現を調べたところ、生後2週以降で少数の陽性細胞が認められた。今後、 MeCP2発現の概日変動の有無について検討する予定である。 2)MeCP2のノックアウトマウスがRett症候群のモデルマウスとして開発されており、ジャクソンラボより入手可能である。平成18年度中にこのマウスについての神経生理学的、あるいは行動学的解析を開始する予定であったが、研究代表者の所属が変わり、実験機材の運搬やノックアウトマウス受け入れの準備などに時間を要したため、18年度は予定された実験を実行に移すことが出来なかった。平成19年度は、日本大学での遺伝子組み換え実験倫理委員会の承認が得られ次第、歯学部においてノックアウトマウスを対象とする実験を開始する予定である。なお、長時間ビデオ撮影システムによる行動解析に関する予備実験は終了している。
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