2008 Fiscal Year Annual Research Report
Rett症候群モデルによる中枢および顎口腔機能異常の発症メカニズムの解明
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18390551
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
白川 哲夫 Nihon University, 歯学部, 教授 (00187527)
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Keywords | Rett症候群 / 摂食調節中枢 / BDNF / 神経核 / 呼吸障害 / FTO / 脳 / 肥満 |
Research Abstract |
これまでの研究から, Rett症候群モデルのMeCP2(-/y)雄マウスの寿命が約10週で,死亡する約2週前より体重が増加から減少に転じ,摂食能力の急激な低下が生じること,それとほぼ同時期に無呼吸発作の頻度が増加することが明らかになった。一方でヘテロ欠損雌マウスMeCP2(+/-)を30週以上通常の餌を与えて飼育すると,約60%という高頻度で体重が標準値の2倍以上に増加することが明らかになり,その原因として摂食調節中枢の異常に起因する過食が強く示唆された。そこで免疫組織学的手法により,マウスの視床下部弓状核でのbrain-derived neurotrophic factor (BDNF)ならびにfat mass and obesity associated (FTO)の発現をMeCP2(-/y)マウス, MeCP2(+/-)マウスならびに野生型マウスで調べた。BDNFはMeCP2(-/y)マウスにおいて発現レベルの低下が認められた。またFTOについてはこれらのマウス間で弓状核での発現レベルに差はみられなかったが, MeCP2(-/y)マウスならびにMeCP2(+/-)マウスでは,腹内側核など弓状核以外の神経核での発現の増加が認められた。MeCP2(+/-)肥満マウスならびに野生型マウスの摂食調節中枢(弓状核および孤束核)からRNAを抽出し,マイクロアレイ解析を実施した結果, MeCP2(+/-)肥満マウスでは孤束核においてTHならびに小胞膜モノアミントランスポーター2(VMAT2)mRNA発現の著明な低下が認められた。脳におけるMeCP2による遺伝子発現制御の詳細は現在も不明であるが, MeCP2(+/-)肥満マウスにおいてklotho遺伝子ならびにtransthyretin遺伝子の著明な発現量低下がみられたことから,中枢での酸化ストレス亢進がMeCP2(-/y)マウスでの進行性の呼吸異常,ならびにMeCP2(+/-)マウスの肥満発症に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)