2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規炎症調節物質(ANAとHMGB-1)を軸とした歯周病態形成機構の解明と制御
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18390561
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
和泉 雄一 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60159803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 宏明 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (50396967)
町頭 三保 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (80253897)
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Keywords | 歯周病 / HMGB1 / 歯肉線維芽細胞 / アポトーシス / ネクローシス / 歯根膜細胞 / IL-6 / IL-11 |
Research Abstract |
High mobility group box1 (HMGB1)は核内タンパクの一つであり、核内において遺伝子の転写制御などの役割を果たすと考えられてきた。近年HMGB1が細胞外へも放出され、細胞外において炎症反応を惹起することが報告されるようになった。我々はHMGB1の歯周病態への関与を検討するために、歯周組織でのHMGB1放出メカニズムおよび細胞外へ放出されたHMGB1の歯周組織細胞への影響を培養細胞を用いて実験を行った。まず、ヒト歯肉線維芽細胞を歯周病原細菌由来Lipopolysaccharideを用いて刺激したところ、遺伝子レベルでの変化が見られないにも関わらず、細胞外でのHMGB1の蛋白レベルが濃度・時間依存的に誘導された。さらに歯肉線維芽細胞にアポトーシス、ネクローシスを誘導すると、いずれの細胞死によってもHMGB1の細胞外への放出が増強されることが明らかとなった。また、HMGB1の細胞外での役割を検討するために歯根膜細胞を用いて実験を行ったところ、HMGB1刺激により、ヒト歯根膜細胞は濃度・時間依存的に炎症性サイトカインであるIL-6及びIL-11を産生した。さらに歯根膜細胞上に、HMGB1のレセプターであるRAGE, TLR2, TLR4受容体の存在が確認された。これらのレセプターに対する中和抗体を用いたところ、どの中和抗体に対してもIL-6、IL-11産生は抑制された。 これらの結果より、歯肉線維芽細胞が歯周組織でのHMGB1放出の重要な源の一つであり、さらに細胞外へ放出されたHMGB1がRAGE, TLR2, TLR4などの受容体を介して歯根膜細胞に働き炎症性サイトカインの産生を上昇させ、歯周病態の形成に関与していることが示唆された。
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