2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト細胞への歯周病細菌の付着、侵入およびシグナル伝達に関する分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
18390567
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永田 英樹 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (50260641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雫石 聰 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (00028789)
片岡 宏介 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助手 (50283792)
久保庭 雅恵 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助手 (00303983)
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Keywords | 歯周病細菌 / ヒト線維芽細胞 / GAPDH / 線毛 / 付着 / 侵入 |
Research Abstract |
我々は、歯周病細菌Porphyromonas gingivalisが口腔内に定着する際に、本菌の有する線毛と初期デンタルバイオフィルム形成菌の菌体表層に存在する、glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)との相互作用が重要な役割を果たすことを報告した。GAPDH遺伝子は非常によく保存されていることが知られており、初期デンタルバイオフィルム形成菌Streptococcus oralisのGAPDHとヒト細胞のGAPDHのアミノ酸配列の相同性も約55%と高いことから、ヒト細胞GAPDHもP.gingivalisの付着・定着に関与しているのではないかと推測し、本研究を行った。Western blot法や生体分子間相互作用解析装置(BIAcore)による解析で、ヒト細胞GAPDHはP.gingivalis線毛と特異的かつ高親和性の結合を示した。さらに、ヒト細胞GAPDHを酵素で分解後、生じたペプチド断片をHPLC逆層カラムにて収集し、得られたペプチド画分とP.gingivalis線毛との結合をBIAcoreにより測定し、強い結合活性を示す画分を質量分析計およびアミノ酸シーケンサで解析した。その結果、ヒト細胞GAPDHのアミノ酸残基165-185の領域に結合部位が存在することが明らかとなった。また、GAPDH siRNAの導入によりGAPDHの発現を抑制したヒト歯肉線維芽細胞を作製し、P.gingivalisの付着・侵入能を蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡を用いて調べた。その結果、GAPDH抑制ヒト歯肉線維芽細胞では、通常のヒト歯肉線維芽細胞に比べてP.gingivalisの付着・侵入が抑制される傾向が認められた。以上の結果から、ヒト細胞のGAPDHはP.gingivalisの付着・定着に関与していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)