2009 Fiscal Year Annual Research Report
カンボジアにおける母子健康手帳を用いた妊婦登録システムの開発とその効果測定
Project/Area Number |
18390599
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
柳澤 理子 Aichi Prefectural University, 看護学部, 教授 (30310618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 安秀 大阪大学, 人間科学部, 教授 (60260486)
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Keywords | 母子健康手帳 / カンボジア / 介入研究 / 妊婦健診 / Skilled Birth Attendant / 母子保健 / 開発途上国 / HIV |
Research Abstract |
本年は研究最終年度にあたるため、介入効果の測定と、報告会を行った。介入効果測定のために質問紙調査を実施した。調査対象は、過去1年間に分娩した母親で、2段階の集落抽出法により、介入地域320人、対照地域320人を抽出した。介入前と同様の質問紙を用いて、妊婦健診、専門家による分娩率、妊娠・分娩中のリスクに関する知識、予防接種率、保健知識と保健行動の変化を、介入地域と対照地域で比較した。また介入地域の看護師、助産師、母親を対象にインタビュー調査を実施し、カンボジア版母子健康手帳の受容度、使いやすさ、改善の必要な点などについて、質的に分析を行った。 妊婦健診を1回以上受診した者は、介入地域では83.8%から90.6%に増加したが、対照地域では変化がみられなかった。4回以上受診した者は、介入地域では33.1%から45.3%に、対照地域では29.4%から39.7%に増加した。施設分娩は介入地域で51.3%から74.1%に、対照地域では34.1%から52.5%に増加し、SBA(専門家)による分娩は介入地域で53.8%から77.2%へと増加したが、対照地域では56.6%から67.8%への増加にとどまった。妊娠中・分娩時のリスクに関する知識は、介入地域では対照地域に比べ大幅な増加がみられた。貧血、駆虫、ビタミンA、HIV/AIDSなどに関する知識でも、介入地域により大きな改善がみられたが、保健行動への効果は小さく、母子健康手帳導入が知識を超えて行動変容につながるには、時間がかかることが示唆された。 これらの結果公表のため、2010年3月、報告会を開催した。保健省、母子健康手帳に興味を持っNGOなどの保健協力機関、介入地域がある県の保健医療従事者など30人余りが参加した。またタイから母子健康手帳導入の経験をもつ専門家を招き講演をいただき、文化的背景が近いこともあり、参加者の関心が高かった。
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Research Products
(14 results)