2007 Fiscal Year Annual Research Report
エコロジカルモデルによる医療者のコミュニケーション・スキル向上のための基礎的検討
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18390600
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
高山 智子 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, がん対策情報センター・がん情報・統計部, 室長 (20362957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 由起子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (30342687)
渡辺 義和 南山大学, 総合政策学部, 准教授 (70329754)
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Keywords | がん / 医師・患者間コミュニケーション / 情報探索行動 / 社会言語的アプローチ |
Research Abstract |
本研究の目的は、医療者-患者間のコミュニケーションを取り巻く環境を踏まえて、医療者患者間のコミュニケーションを分析し、実践に役立てるための示唆を得ることである。平成19年度は、1)がん診療場面で行われた医師・患者間の診療場面の録音データを用いて、患者による医師のコミュニケーションの評価の違いを社会言語的アプローチから明らかにすること、2)米国の健康情報トレンド調査(Health Information National Trend Suevey)のデータを用いて、人々を取り巻く環境から情報探索行動を明らかにすること、を行った。 1)の分析では、医師のコミュニケーションの協働性が、患者により高く評価された医師と低く評価された医師の診療場面でのやりとりを社会言語的アプローチにより分析した結果、2名の医師の間に一貫した特徴がいくつかあげられた。医師のコミュニケーションの協働性が高い医師では、コミュニケーションの構造レベルでは、適切なタイミングでの相づち、患者によるトピックコントールが行われており、内容レベルでは、心理社会的なトピックが多く取り上げられていた。ここで明らかになったことは、これまで患者だけの主観的な調査、あるいは、客観的な分析として行われていた発話数の解析による会話分析からは明らかになっていなかったことであり、複数の分析手法を用いることによって、より明確に医師のコミュニケーションの実態とそれがどのように患者に影響を及ぼすのかが明らかになったと言える。今後これらの違いが生ずる原因について分析を深め、改善するための方策について検討を進める予定である。 2)の検討では、がんと診断された人とそうでない人との間に、情報探索行動の取り方による精神健康への影響の仕方に違いが認められた。がんの情報探索をサポートする際の注意点やそのための環境づくりを考える際の示唆が得られた。
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Research Products
(4 results)