2008 Fiscal Year Annual Research Report
エコロジカルモデルによる医療者のコミュニケーション・スキル向上のための基礎的検討
Project/Area Number |
18390600
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
高山 智子 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, がん対策情報センターがん情報・統計部, 室長 (20362957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 由起子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (30342687)
渡辺 義和 南山大学, 総合政策学部, 准教授 (70329754)
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Keywords | エコロジカルモデル / 医療者-患者関係 / コミュニケーション / 医療安全 / 医療業務環境 |
Research Abstract |
第一に、医療者の医療環境に対する認識と医療行為との関係の実態把握のために、看護師と薬剤師のタイムスタディーデータ、Visualデータを用いて、多重業務や業務中断の実態把握を行った。その結果、看護師は1つの業務継続時間は平均1分であり、直接サービス時間中でも1時間に平均8回の業務中断かおることが明らかになった。このような調査は日本では今まで行われておらず、本結果にて他国に比べても日本の看護師の厳しい業務環境が明らかになった。このような状況は、看護師と患者とのコミュニケーションの阻害要因であり、看護の質や患者満足の低下、医療事故の危険性を招くため、業務環境の改善が早急に求められる。 第二に、医療従事者の認識が患者とのコミュニケーションの取り方、態度に及ぼす影響ついて、薬害HIV被害における病名告知場面における医療者-患者・家族間のコミュニケーションを面接調査データ及び質問紙調査データを用い分析した。その結果、量的研究では、半数以上の家族が、医師がHIV感染を知らせた時期が遅すぎたと評価し、主治医が患者への感染告知を躊躇していた状況や、医原病、の発生に対する謝罪がないことを問題と感じていた。質的研究では、患者・家族が告知を希望してい、た状況と、医師が告知できなかった要因には、日本の医療組織的、制度的、文化的問題が絡んでいることが明らかになった。 日本における告知に関する調査は、一般住民や、医師や患者を対象としたものが多く、実際に告知問題に直面した患者の家族への調査は少ない。告知のあり方を検討するためには、医師の動向に直接影響する、実際に告知問題に直面した多数の患者の家族の語りが非常に重要であり、今後の医学教育において重要な知見が得られたと思われる。
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Research Products
(2 results)