2009 Fiscal Year Annual Research Report
北京・天津を中心とした華北の廟会と祭祀組織「香会」の実態研究
Project/Area Number |
18401011
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
櫻井 龍彦 Nagoya University, 大学院・国際開発研究科, 教授 (60170643)
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Keywords | 宗教学 / 中国哲学 / 文化人類学 / 民俗学 / 民間信仰 / 廟会 / 道教 / 仏教 |
Research Abstract |
研究の目的は、北京と天津を中心とした華北地域における復活した廟会およびそこに参拝する民間の祭祀芸能集団の組織としての実態を調査し、その現代的意義について明らかにすること。同時に組織の活動基盤にある碧霞元君と媽祖への女神信仰の諸相を調べ、組織活動のなかでの信仰の位置づけをすることにある。最終年度の活動と成果を時系列で述べる。 5月に北京と天津の調査を実施した。門頭溝区の花会と修復された五頂廟のうち北頂、西頂、中頂を調査した。また「進香妙峰山図」に出てくる大覚寺と万善同縁茶棚の遺跡も調べ、管理人から往時の話しを聞くことができた。天津では葛沽鎮を中心に皇会の調査ができた。また10月には嫣祖信仰の本場である台湾で3カ所嫣祖廟の調査をした。2010年3月も北京と天津の廟会調査を実施し、華北の農村に残る娘娘廟も調べることができた。 中国側の協力者の調査は北京では孫慶忠氏(中国農業大学)が学生を引率し、60日以上の現地調査と数回にわたる報告会を行い、22カ所の組織を個別調査した。天津では協力者の王利文氏(老城博物館)が研究員を動員して51日間の調査で8カ所の組織を重点的に個別調査した。 研究成果の公表は8月に広東省珠海市で開催された「民間信仰与文化遺産」国際学術研討会での基調講演と9月に大連大学での招待講演がある。テーマは本研究に関係する廟会と民間信仰の問題である。廟会にかかわる祭祀芸能集団は為政者からは迷信活動として否定的にみられるが、近年はその活動が無形文化遺産として登録される傾向がみられるので、国の宗教政策と文化保護政策とを関連づける視点で考察した。 最終報告書として2010年3月に『北京・天津唐会与民同祭祀組織(香会)的田野調査研究』(中国語、総667頁)を出した。収録した聞き取り調査報告は北京が30ヶ所、天津が17ヶ所の記録である。報告と論文は合計12本である。
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Research Products
(5 results)