2006 Fiscal Year Annual Research Report
仏教・ヒンドゥー教の東南アジア伝播と王権思想-叙事詩と法典の受容と変容を中心に
Project/Area Number |
18401012
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山下 博司 東北大学, 大学院国際文化研究科, 教授 (20230427)
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Keywords | ヒンドゥー教 / 仏教 / 東南アジア / ジャワ / インドシナ / インド叙事詩 / インド法典 / チェッティヤール |
Research Abstract |
昨年度は、東南アジア諸王朝における仏教・ヒンドゥー教の導入の経緯と推移を明らかにし、それらを政治史的観点から比較・綜合して問題点を析出する作業を行った。東南アジア諸王朝の権力基盤の確立に伴う外来のインド的諸要素について検証するための予備段階と位置づけ、基本資料を収集した。収集には、資料がよく整備されているシンガポール国立図書館などが至便で、効率的に資料収集が図られた。 数年来、東南アジア多民族社会におけるインド系宗教の展開と意義について、華人に伝わる九皇大帝の慶典を調査し続けているが、昨年度はマレーシア・ペナンの最古の斗母宮(香港巷斗母宮)とその九皇爺崇拝の事例を取り上げ、開始から数日間の儀礼シクエンスを映像に収めるとともに、関連の文献資料や研究論文を集めることができた。 その様子は英文の中国語の地元日刊紙複数に取り上げられ、所属部局のホームページでも取り上げられている。一昨年度にシンガポールで取材した后港九皇爺崇拝にっいては、日本宗教学会で研究発表するとともに、『宗教研究』で要旨を掲載した。(研究論文の形では2006年3月発行の『東方』第21号に掲載済である。)また、これらを含むインド系宗教の研究は、監修『インド(世界の国ぐに22)』の形でも活かされ、一般の読者に成果が公開されている。 昨夏に南インドで行ったフィールド調査の結果は、学術雑誌『東方』第22号に掲載された。近現代の南インドからの人々の海外への拡大について、ヒンドゥー司祭の世界進出の問題を軸に調査し、纏めたものである。
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