2009 Fiscal Year Annual Research Report
仏教・ヒンドゥー教の東南アジア伝播と王権思想-叙事詩と法典の受容と変容を中心に
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18401012
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山下 博司 Tohoku University, 大学院・国際文化研究科, 教授 (20230427)
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Keywords | ヒンドゥー教 / インド / 東南アジア / 叙事詩 / マハーバーラタ / ラーマーヤナ / 法典 / 仏教 |
Research Abstract |
本年度は本研究計画の最終年度として、アジアの歴史社会におけるインド的宗教の性格と機能について、インド系叙事詩のもつ役割の問題にも着眼しつつ調査研究を行うとともに、包括的な考察を行った。 東南アジアでは、まずシンガポールのドラウパディー関連の女神祭祀について信者に面接取材を行い、「マハーバーラタ」の物語を再現する形で儀礼シクエンスが組まれている事実を参加者の意識のなかに確認するとともに、その儀礼シクエンスの詳細を詳しく纏め、また信者の儀礼への参加の動機等について取材した。この過程で、儀礼全体の「南インデド的性格」についても示唆を得た。儀礼の進行については、すでに大量の写真とヴィデオに収めてあるので、映像、聴き取り、文献の3者を併せた総合的な研究を近い将来公表すべく準備を進めつつある。また、シンガポールにおける諸民族の融和に対してインド系宗教が果たしている役割について、寺院祭祀の問題にも触れつつ論じ、2編の論文として発表している。 東南アジアにおいては、さらにインドネシアの東ジャワ州モジョコルト市周辺のヒンドゥー遺跡・仏教遺跡について数次にわたって現地調査を行った。とくにモジョコルト市に近いトゥウォウラン遺跡を2度訪れ、遺跡の分布と歴史的前後関係を文献によって確認し、また写真等に収め、関連の映像資料も収集し得た。 これら一連の調査研究により知り得た成果は、その問題をも射程に含む単著などのかたちでも社会に還元されている。
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Research Products
(5 results)