2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18401038
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
慶田 勝彦 熊本大学, 文学部, 教授 (10195620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜本 満 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (40156419)
花渕 馨也 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助教授 (50323910)
田川 玄 広島市立大学, 国際学部, 助教授 (70364106)
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Keywords | 東アフリカ / 植民地主義 / 民族性 / 文化的アイデンティティ / 政治的アイデンティティ / 暴力の記憶 / 集団的悪意 / 暴力の想像力 |
Research Abstract |
平成18年度は、各研究者とも当初の計画通り、30日前後の現地調査を行い、本研究のテーマである東アフリカの暴力の諸相に関する資料収集を行った。年度末には現地調査に基づいた研究報告会を行い各研究者の研究動向と今後の研究課題等について話し合った。 研究代表者の慶田は、本研究に方向性を与えるため暴力の研究に関する理論的動向について言及したあと、植民地期に英国政府に抵抗したケニア海岸地方出身の女性メカテリリに焦点をあて、現在、彼女の墓地が海岸地域のみならず国家的な英雄の歴史的名所として形成されようとしでいる過程について報告した。 浜本はケニア海岸南部において現地調査を実施し、新しいタイプの大規模な反妖術運動の実態について詳細な報告を行った。一見すると伝統的でローカルな形態をとっている反妖術運動が国家の経済的、政治的権力者に対する集団的悪意へと変換されていく過程について、また、この現象と1990年代に生じた「リコニ騒乱」と呼ばれる暴力的事件の記憶との関係の仕方について示唆的な指摘を行った。 花渕はコモロ諸島における儀礼的慣行に着目し、本来は暴力の発動につながることもある侮蔑や悪意を含むとされる言葉や行為が、それとは逆に笑いや遊びへと変換され、独特な集団的親密性を構築していることを詳細な現地資料に基づいて報告した。また、コモロ諸島の女性たちがかなりのリスクを負いながらもフランスへの密航を集団的に行っている現況についても興味深い報告を行った。 田川は、1935年から1941年までのイタリア軍によるエチオピア侵攻の際にソマリ系諸集団とボラナが果たした役割と1970年代の大ソマリ主義によるソマリ系諸集団のエチオピア侵攻というふたっの事件の聞き取りから、ボラナとソマリ系諸集団との関係の変遷について現地調査を行った。
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Research Products
(2 results)