2007 Fiscal Year Annual Research Report
国際人道秩序の危機の時代における難民定住基準の国際比較に関する学術的研究
Project/Area Number |
18401040
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
小泉 康一 Daito Bunka University, 国際関係学部, 教授 (50266227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 弘次 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (00185795)
児玉 克哉 三重大学, 人文学部, 教授 (50225455)
成田 弘成 桜花学園大学, 人文学部, 教授 (40189212)
墓田 桂 成蹊大学, 文学部, 専任講師 (20407604)
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Keywords | 国際人道制度 / 難民認定基準 / 難民への公的補助 / 国際定住基準 / 国際研究者交流 / イギリス・スイス・アメリカ |
Research Abstract |
難民の受け入れ状況が各国で厳しさを増す中で、難民への恒久的解決策の一つとしての「再定住」と、その結果としての難民の社会への「統合」の意味が重要になってきている。今年はこの問題を各地域の国々の現場で、実際に関係の担当官、NGO関係者、そして難民当人に問質すことをおこなった。 そこでわかったことは、一国の難民定住では、良きにつけ悪しきにつけ、"成功か否か"という言葉が多用されるが、実際にはその判断が明確に調べられねばならないことである。難民個人は、自分たちの価値や優先度を容易に口外はしないし、要求が常に受け入れられるわけでもないので、他人に自分の考えを表立って表明することはあまりない。従って、定住・統合が成功したか否かの評価では、外部者の評価とともに、当人たる難民の評価も含まれねばならない。 「統合」を考えるためには、考慮すべき要因として、政府の政策、国民の態度、外部の条件などがあるが、一体何が、難民に社会統合へ前向きな気持ちにさせるのかが問題としてある。統合は決して連続的でもないし、一つだけのプロセスでもない。しばしばこのプロセスは生涯にわたる。一方、受け入れ社会は一枚岩ではないので、実際の統合は、その社会の様々な部分で発生の形態が異なり、多様な結果を持つ可能性がある。統合は、互いに重複する一群のプロセスである。プロセスは複雑だが、難民当人の統合されたいという望みがプロセスの中ではとりわけ重要な要因である。 しかし例えば、難民の再定住のような問題はうまく管理されれば、その社会内での難民のイメージの向上に役立つかもしれない。
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