2006 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカとユーラシアに展開する宗教と商業のネットワークに関する歴史人類学的研究
Project/Area Number |
18401045
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
三島 禎子 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 助教授 (20280604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保坂 俊司 麗澤大学, 国際経済学部, 教授 (80245274)
井野瀬 久美恵 甲南大学, 文学部, 教授 (70203271)
新免 光比呂 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 助教授 (60260056)
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Keywords | 移動 / 商人 / 宗教 / 文明 / ネットワーク / アフリカ / ユーラシア |
Research Abstract |
平成18年度の研究は、(1)移動が生み出す経済行為の実態に関する調査、(2)宗教ネットワークと経済行為の関連についての調査、(3)文献調査にポイントをおき、各研究分担者がそれぞれの地域で調査を実施した。三島はアフリカの商業民ソニンケのネットワークの世界的拡大の実態を調査するために、人的交流を深めた。合衆国ではソニンケ出身の研究者と情報を交換し、在中国のソニンケ商人を日本での研究会に招聘した。また比較研究の一環として、トルコのクルド商人について現地調査をおこなった。予定していたレバノンでの現地調査は、イスラエルによる侵攻で現地情勢が不穏になったため、今年度は中止した。保坂はインド、スリランカにおいて、中東への出稼ぎとイスラーム化との関係を調査したほか、国内においても商業活動と宗教、宗派の関係の基礎的な資料収集や情報交換をおこなった。その成果の一部は別紙の業績にあるとおり、商業活動と宗教倫理の関係性についての考察およびシク教の世界的な発展とその商業活動との関係などに関する研究として、すでに刊行されている。井野瀬は南アフリカと大英帝国との関連について文献調査をおこない、次年度の現地調査の準備を進めた。新免は、バルカン半島地域におけるユダヤ人商人のネットワークについてトルコで調査をおこない、ムスリムからみたユダヤ商人像およびユダヤ商人のオスマン帝国における歴史的な役割の一端について考察を深めた。また海外共同研究者であるシセは、植民地時代にセネガルに移住したのち大きな経済力を持ち続けているレバノン商人の調査をおこなったほか、アフリカへの中国人の経済進出についても調査を開始した。 世界レベルで経済ネットワークをもつ商人の経済活動の実態とその歴史的背景について、多くの情報と知見を得ることができた。それによって、次年度における調査で、宗教的な要因との関連性について考察する基盤がほぼ整ったと思われる。
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Research Products
(23 results)