2008 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカとユーラシアに展開する宗教と商業のネットワークに関する歴史人類学的研究
Project/Area Number |
18401045
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
三島 禎子 National Museum of Ethnology, 民族社会研究部, 准教授 (20280604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井野瀬 久美恵 甲南大学, 文学部, 教授 (70203271)
新免 光比呂 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 准教授 (60260056)
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Keywords | 移動 / 商人 / 宗教 / 文明 / ネットワーク / アフリカ / ユーラシア |
Research Abstract |
平成20年度は昨年度に引き続き、(1)移動が生み出す経済行為の実態に関する調査、(2)宗教ネットワークと経済行為の関連についての調査、(3)文献調査にポイントをおき、各研究分担者がそれぞれの地域で調査を実施した。三島はアフリカの商業民ソニンケのネットワークの世界的拡大の実態を確認するために、エジプトのカイロで実地調査を行った。その結果、ソニンケのネットワークの存在は確認できなかったが、おなじマンデ系に属する民族の集団がコミュニティーを作っていることがわかった。保坂は、マレーシア・タイにおけるシク教徒を中心とする商業と民族移動の連続性について実地調査を行った。マレーシアにおけるシク教の国際会議にオブザーバーとして参加し、また、タイにおけるシク教徒の移民の歴史とその特徴について調査した。特に興味を引いた現象はインドで少数派のナーム・ダリ派がタイにおいて大きな勢力を持つ事であり、一層の調査と解明が課題となった。井野瀬は、国内での文献調査を行い、大英帝国のネットワークの理論的な解明を進めた。新免は、かつてのメッカ巡礼の二大基地のひとつであるカイロをネットワークの歴史的連続性という観点から調査した。航空機の発達によってメッカ巡礼におけるカイロの意義は低下したものの、アフリカ内部におけるネットワークの結節点としての役割はなお大きく、近代都市として現在も重要であることが認識された。 最終年度の成果として、世界レベルで経済ネットワークをもつ商人の経済活動の実態とその歴史的背景に関する知見が、ユーラシア大陸の広い地域で集積された。これにより人類の移動について発想の転換と新たな分析枠の構築につながる考察の準備が整えられた。
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Research Products
(11 results)