2006 Fiscal Year Annual Research Report
オーストラリアの廃棄物問題-アデレード・メルボルンにおける多水準分析の試み-
Project/Area Number |
18402029
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
海野 道郎 東北大学, 大学院文学研究科, 教授 (90016676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠木 幹子 岩手県立大学, 総合政策学部, 専任講師 (20398332)
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Keywords | オーストラリア / 廃棄物制度 / ごみ問題 / NPO / アデレード / 南オーストラリア州 |
Research Abstract |
本研究では、野生動物の保護やナショナルパークの管理といった「自然」の保護に力が入れられているオーストラリアにおいて、廃棄物問題というものがどのように捉えられ、廃棄物の削減のためにどのような制度がつくられているのかということを、地域における行政や企業、住民団体、個別住民の役割を考慮しながら、聴き取り調査を土台とした調査研究によって明らかにすることである。本年度は、対象地の中でもアデレードを中心とし、(1)現地における聞き取り調査、(2)日本のオーストラリア大使館における資料収集、(3)われわれの調査に対する専門的意見を得るために、オーストラリア社会学会(TASA)における学会発表を行った。 アデレードにおける聴き取り調査によって、次のようなことが明らかになった。第1に、オーストラリアの行政組織は、連邦政府-州政府-地方自治の三層構造となっているが、とくに州政府の権限が強い。アデレードがある南オーストラリア州では、EPA(Environmental Protection Agency)が、大気や水、廃棄物、騒音、有害廃棄物、河川環境保護、環境計画と評価などを扱っている。これに対して、地方自治は、廃棄物収集などの実務を担当している。これは、各市町村に制度設計や収集業務が一任されている日本と大きく異なる。第2に、南オーストラリア州ではEPAから廃棄物管理政策立案の部局Zero Waste SAが独立し、新しい廃棄物戦略にっいて検討を行っている。第3に、アデレードでは、KWSABというNPO組織が、環境政策の立案や実施に際して大きな役割を果たしていることが明らかになった。この組織では、特に子どもに対する環境教育に力を入れ、独自の環境教育施設や教材をつくっている。第4に、廃棄物処理に携わっている事業所のリサイクルセンターなどの形式は、日本とほぼ同じであることが明らかになった。
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