2007 Fiscal Year Annual Research Report
オーストラリアの廃棄物問題-アデレード・メルボルンにおける多水準分析の試み-
Project/Area Number |
18402029
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
海野 道郎 Tohoku University, 教養教育院, 総長特命教授 (90016676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠木 幹子 岩手県立大学, 総合政策学部, 准教授 (20398332)
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Keywords | 廃棄物 / 環境NPO / オーストラリア / ごみ問題 / アデレード / メルボルン / リーダーシップ / 環境教育 |
Research Abstract |
アデレード市およびメルボルン市における聴き取り調査を2度実施し、オーストラリアにおける廃棄物行政の現状と課題、および廃棄物問題に対する環境NPOのかかわりを明らかにした。調査の結果、アデレード市の環境NPO"KESAB(Keep South Australia Beautiful)"が独自で活発な活動を継続している要因を抽出した。その理由の一つは、エグゼクティブ・ディレクターによる小組織運営の経験に基づいたリーダーシップである。この事実は、KESABの活動を他州(特にヴィクトリア州)の同種NPO(Keep Australia Beautiful)の活動と比較することにより明らかになった。また、アデレードでKESABが行っている環境教育の機能を、メルボルン市では別の組織が担っていることも明らかになった。 メルボルン市では、また、ヴィクトリア州の行政組織であるSustainability Victoriaで資料収集と聴き取り調査を行った結果、次の点が明らかになった。(1)ヴィクトリア州の環境行政の中で、ここ数年で「廃棄物行政」の重要性が飛躍的に高まった。(2)各地方自治体において廃棄物の減量化を競わせる政策を実施したところ、減量に大きな成果が見られた。(3)廃棄物減量が進まない地域では、階層や学歴の問題が関係しそうである。階層や学歴が関係するという問題はわれわれが日本で行った調査でも見出されており、減量を阻害する要因に、国を超えた共通性のあることが指摘できる。 なお、平成19年度には、アデレードにおける調査結果を基に東北社会学会大会で報告し、そこで得た助言を踏まえてオーストラリア社会学会大会で研究報告を行った。
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Research Products
(3 results)