2008 Fiscal Year Annual Research Report
オーストラリアの廃棄物問題-アデレード・メルボルンにおける多水準分析の試み-
Project/Area Number |
18402029
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
海野 道郎 Tohoku University, 教養教育院, 総長特命教授 (90016676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠木 幹子 中央大学, 総合政策学部, 准教授 (20398332)
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Keywords | 廃棄物 / 環境NPO / オーストラリア / アデレード / メルボルン / ごみ問題 / 環境教育 / 組織 |
Research Abstract |
本年度は、次の点に焦点を当てながら、オーストラリアアデレード市およびメルボルン市における調査を実施した。 アデレード市における調査は、KESAB(Keep South Australia Beauteful)の詳細な組織形態を把握することに努めた。まずは、KESAB創立以降、どのような人がメンバーとして関わり、何年ぐらい働いていたかという組織内の歴史を明らかにしたうえで、現在KESABで働いているメンバーが、環境保護を目的としたこのNPO組織にどのようなキャリアを経て携わり、どのような仕事をしているのかについて明らかにした。また、アデレードの廃棄物行政を担当しているZWSA(Zero Waste South Australia)では、これまでアデレードの廃棄物行政を支えたキーパーソンに面会し、組織の在り方と望ましい政策の関係について検討した。 メルボルンの調査は、当初アデレードと比較する目的ではじまったが、都市規模がアデレードの3倍のメルボルンとアデレードは、廃棄物行政の組織の在り方や、彼らを支えるNPOの在り方のどちらにおいても単純な比較ができないことが明らかになった。たとえば、アデレードの廃棄物行政はZWSAが一手に担っているが、メルボルンの場合は、行政組織においても、廃棄物政策策定を担うSustainability Victoriaという部署と地方自治体にごみの減量等を実施させるための実行部隊であるMWMG(Metropolitan Waste Management Group)という行政組織もあり、行政内でもすみわけがあることが分かった。 また、メルボルンにも廃棄物行政を支えるためのさまざまなNPO組織があるが、アデレードのKESABのように大きな組織はほとんどなく、だいたいが1~3人で活動をしている小さいNPOであり、それが数多くあることがわかった。アデレードのKESABはKeep Australia Beautifulという組織のブランチ組織であり、メルボルンにも同様の組織KABV(Keep Australia Beautiful Victoria)が存在するのだが、その組織も規模が非常に小さあった。ただ、メルボルンでの小規模なNPO組織は、その組織に携わる人のキャリアや能力を最大限に生かした組織をつくり、問題解決に貢献していることが明らかになった。
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