Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
首藤 明和 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (60346294)
唐 燕霞 島根県立大学, 総合政策学部, 准教授 (80326404)
東 美晴 流通経済大学, 社会学部, 准教授 (50347978)
陳 捷 愛媛大学, 国際交流センター, 准教授 (00380212)
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Research Abstract |
中国農村の底辺階級について,西蔵,青島における牧畜と農民に対する予備調査を実施した。また,都市の底辺階級については,北京市の都市細民とレイオフ労働者を対象とした予備調査を実施した。その一方で,分析枠組みおよび予備調査結果の検討作業を,研究代表者,研究分担者,研究協力者の間で行った。これら一連の研究成果は,国際比較研究,日中社会学会ワーキングペーパー集において刊行された。 平成18年度の研究から得られた知見をまとめると,つぎの通りとなる。 (1)底辺階級側からは,行政官,医師,知識人が彼らの生活を直接的に抑圧する存在と受け止められていることが確認できた。また,こうした人々の生活破壊については,医療と教育の問題が密接に関わっている可能性が明らかになった。 (2)底辺階級の一部には社会的格差に対する不満感情が広がっており,社会的衝突の可能性の拡大を示唆する意識も見られることが明らかになった。 (3)農村における底辺階級については,出稼ぎや離村などとのかかわりから,家族自体が崩壊している状況が見られた。 (4)底辺階級のとの関連から捉えると,生活面の危機,団結力の解体,法の未整備から,労働者の発言機会そのものが奪われていることが明らかになった。 (5)底辺階級の人間的側面からみた新たな発展の担い手について,都市細民に一つの可能性が見出せた。 (6)新たな発展のあり方には文化とエコロジーを重視する必要があることを確認できた。それには,地域における民衆生活,歴史的特性の見直しが求められることが明らかとなった。 (7)新たな発展のあり方の現実的展開を考えるためには,「和諧社会」の議論との関連を検討する必要があることを確認できた。
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