2009 Fiscal Year Annual Research Report
非営利民間放送の持続可能な制度と社会的認知 コミュニティ放送のモデルを探る
Project/Area Number |
18402038
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
松浦 さと子 Ryukoku University, 経済学部, 准教授 (60319788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 哲郎 龍谷大学, 社会学部, 講師 (10510563)
川島 隆 滋賀大学, 経済学部, 講師 (10456808)
小川 明子 愛知淑徳大学, 現代社会学部, 准教授 (00351156)
山口 洋典 同志社大学, 大学院・総合政策科学研究科, 准教授 (90449520)
林 怡蓉 関西学院大学, 社会学部, 助教 (10460990)
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Keywords | コミュニケーションの権利 / 社会運動 / コミュニティラジオ・メディア / パブリックアクセス / プレカリアート / 協同組合 / オルタナティブメディア / AMARC |
Research Abstract |
本年は、チェコ、カナダ、オーストラリア、台湾、イギリスの近況調査と、日本における制度化に向けた具体的な非営利放送、コミュニティメディアの実践事例の調査を実施した。チェコに狭義の市民放送制度は存在しないが、移民排斥と経済不況のなか、さまざまな団体がロマ像是正とメディア・リテラシー向上に取り組む。ロマ初のインターネットTVの放送が開始、ラジオ放送免許取得に成功した団体もある(資金難により途絶)。カナダではモントリオールでAMARC(世界コミュニティラジオ放送連盟)の第1回世界大会が開催された経緯からケベック州の文化的特異性に注目し、中央政府と対立するその政治的背景がコミュニティメディアの進展に拍車をかけたことを明らかにした。 オーストリアでは、ネットワーキングを進め、非営利コミュニティラジオセクターの存在を可視化し、法制度の枠組みの中に自らを位置づけ、多額の公的財源を確保している。台湾では、公共財源を用いる公共放送グループとボランティアによるリサイクル財源で運営される大愛電視台が、資金難のなか運営しながら制度化を目指す。イギリスでは、コミュニティラジオが新労働政権下2004年に第三の放送として制度化後、開局数は200を超え、財政難のなか社会的利得を明らかにし社会的企業化を進めている。 研究最終年度にあたり、また政権交代による制度化の進展をにらみ、調査成果を出版し社会に提示することにした。諸外国との比較により明らかになった日本の現状は、1)公共放送、商業放送と明確に区別される民間非営利運営の市民社会型放送の制度がない、2)コミュニケーションの権利をはじめそれらの放送が社会的に生み出す成果や利益の明示がない、3)そのために公的財源や優遇措置、デジタル化への備えがない、4)その結果、放送や参加者の社会的認知が進まず制度化や財源確保が一層困難となる、といった循環が見られた。
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Research Products
(15 results)