2006 Fiscal Year Annual Research Report
お金という文化的道具の修得と東アジアの子どもの生活世界:差の文化心理学の視角から
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18402042
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Research Institution | Maebashi Kyoai Gakuen College |
Principal Investigator |
山本 登志哉 共愛学園前橋国際大学, 国際社会学部, 教授 (60221660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 登 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00188038)
佐藤 達哉 立命館大学, 文学部, 助教授 (90215806)
呉 宣児 共愛学園前橋国際大学, 国際社会学部, 助教授 (90363308)
竹尾 和子 東京理科大学, 理学部, 講師 (30366421)
伊藤 哲司 茨城大学, 人文学部, 助教授 (70250975)
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Keywords | おこづかい / 文化心理学 / 東アジア文化比較 / 文化的道具としてのお金 / 文化的自立 / 友達関係 / 拡張された媒介構造 / 金銭教育 |
Research Abstract |
本年度は以下のような作業が行われた。 1)質問紙の分析 親子関係に於ける自立の様相について、日中韓越のデータ全体の概略を比較整理する作業を進めた。このほか、細部にわたる比較作業を順次行ってきている。また金銭教育問題について、群馬県の小中高の先生に対する調査を行った。さらにこれらについて、日中韓越の研究者が集まってその解釈について議論を深めた。 2)インタビュー分析から 親子関係に於ける両義的関係から、お小遣いの所有意識に於ける曖昧さを分析する中で、日本(奈良)と中国朝鮮族(延辺)のデータを解析。また親子関係の中での自立とその文化差という問題について、自立を「依存的自立」または「自立的依存」のありかたの変容過程としてとらえ、文化差をその過程の差としてとらえる視点から議論を展開した。さらに日韓におけるおごりあいの認識についても議論を深めた。 3)理論的な作業 文化的道具としてのお金、という概念を整理しながら、お小遣いを文化心理学的に分析する視点を整理。データの意味解釈に於ける多声的方法についての初歩的な整理を試みた。またマルチメソッドに関連し、「文化的なものとしてのお小遣い現象」を量的に分析することと、質的に分析することの間にどのような見えの差が生まれてくるのか、その方法論的な問題を検討した。 4)発表 例年通り、国内の発達心理学会、教育心理学会、日本心理学会、質的心理学会などで上記分析を着実に発表しているほか、今年度は国際行動発達学会(メルボルン)で上記分析や理論的問題などについて二つのシンポに参加または主催した。また印刷中のCambridge Handbook of Socio-Cultural Psychology (eds. By Valsiner, Y. and Rosa, A.)に、過去の関連する心理学的研究をサーベイし、その視点の問題点を整理しつつ、贈与の問題を中心に経済人類学をはじめとする人類学の議論、所有の問題を中心に法社会学の議論を参照しつつ、関連書領域との関係において我々の「お小遣い現象」分析の視点を整理し、さらに文化心理学の媒介概念やパフチンの声の概念を参照しつつ、我々の基礎的な分析概念である「拡張された媒介構造」を説明する、といった理論的な作業を行った。 5)社会的な還元 今年度は大学や新聞社との共催、NPO法人や群馬県教育委員会、前橋市教育委員会の後援などを得て、日中韓越の共同研究者によるシンポジウムを開催し、地元新聞にも大きく報道されるなど、社会的な還元を行った。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Understanding Children's Cognition about Pocket Money from Mutual-subjectivity Perspective2006
Author(s)
PIAN, C., YAMAMOTO, T., TAKAHASHI, N., OH, S., TAKEO, K., SATO,T.
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Journal Title
Memoirs of Osaka Kyoiku University. IV, Education, pshychology, special education and physical culture Vol.55 No.1
Pages: 109ー127
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