Research Abstract |
昨年に引き続き,2004年12月26日に発生したスマトラ地震の余効変動を捉えるため,タイ・ミャンマーなどの地域においてGPS連続観測を実施している.平成19年度は,チュラロンコン大学やミャンマー気象水理局等各国の関係機関の協力の下,タイ国内11ヶ所,ミャンマー1ヶ所,インドネシア3ヶ所および周辺のグローバル観測網のデータを統合会席し,2001年1月1日から2007年8月末までのデータの解析を行った.その結果, 1)地震前の各観測点は,ほぼ一定の割合で東へ移動していた. 2)地震後の余効変動は,減衰しつつも継続しており,2007年半ばまでの約2年半の間の変位は,タイ・プーケットで西南西は27.5cm,バンコクで8.1cm,チェンマイで3.3cmと,地震時の変位を上回っている. 3)有限要素法により沈み込み帯の三次元構造モデルを作成し,マントルの粘弾性緩和による余効変動のモデル計算を行った.さらに,1946年南海地震後の余効変動と比較して,手法の妥当性を確認した. 4)スマトラ〜アンダマン地域の三次元構造モデルを作成し,3)の手法により3年間の粘弾性緩和による余効変動を計算した.その結果,最初の半年間を除いて,タイ周辺の余効変動をよく説明できること,さらに,拡大しているアンダマン海直下には顕著な低粘性領域を想定する必要がないこと,などの結果を得ている.これらの成果を,日本地球惑星科学連合大会,国際測地学・地球物理学連合総会,日本地震学会秋季大会,日本測地学会講演会,アメリカ地球物理学連合秋季大会などで発表した.
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