2008 Fiscal Year Annual Research Report
チリ共和国アタカマにおける成層圏・中間圏の水蒸気同位体およびオゾンの観測的研究
Project/Area Number |
18403008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水野 亮 Nagoya University, 太陽地球環境研究所, 教授 (80212231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長濱 智生 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (70377779)
前澤 裕之 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教 (00377780)
秋吉 英治 独立行政法人国立環境研究所, 大気圏環境研究領域, 主任研究員 (10270589)
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Keywords | 環境変動 / 大気現象 / リモートセンシング / 超伝導材料素子・機器 / 気候変動 |
Research Abstract |
本研究は、南米チリ共和国のアタカマ高地に設置した超伝導ミリ波放射計を用い、水蒸気同位対比およびオゾンの連続定常観測を行い、成層圏から中間圏における放射バランスの鍵を握る水蒸気とオゾンの季節変化・経年変化の実態とその変動メカニズムの解明を目指している。平成20年度は、水蒸気同位体HDOを観測するための250GHz帯超伝導受信器の開発とアタカマ高地での設置調整、およびアタカマ高地におけるH_2^<18>Oとオゾン破壊過程で重要な役割を果たすC10の連続観測を行った。 250GHz帯受信器においては、H19年度にホーンの再設計を行ったビーム伝送光学系を名古屋大学内で評価し、チリ共和国アタカマ高地に移設し、設置・調整を行った。調整において光路長変調器におけるビームの散乱による定在波の発生等の問題が見られたが、H19年度に実験室で確立したビームパターン測定法により定在波の発生を抑えることに成功した。調整後のビーム伝送光学系全体での損失は0.35dB、システム雑音温度〜100K(DSB)と世界トップクラスの性能を達成している。また、バックエンド部のデジタル分光計システムの開発も併せて行い、冷却効率が低下する標高5千メートルの高地で安定に動作することを確認し、オゾン、NO_2、N_2Oなど試験観測を行った。 アタカマ高地における観測では、20年度は6月から12月にかけてH_2^<18>OとC10の連続観測を行った。昨年同様、音響光学型分光計のレーザーダイオードの発振が不安定になる現象が時折見られたが、19年度に導入した半導体レーザーのリアルタイムモニターにより、安定度のモニターを行いながら観測を進めた。これにより強度が100mK程度以下の非常に微弱なC10スペクトルの観測効率が向上し、複数日にわたってC10の高度分布を取得することができた。
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Research Products
(9 results)