2009 Fiscal Year Annual Research Report
チリ共和国アタカマにおける成層圏・中間圏の水蒸気同位体およびオゾンの観測的研究
Project/Area Number |
18403008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水野 亮 Nagoya University, 太陽地球環境研究所, 教授 (80212231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長濱 智生 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (70377779)
前澤 裕之 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教 (00377780)
秋吉 英治 独立行政法人国立環境研究所, 大気圏環境研究領域, 主任研究員 (10270589)
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Keywords | 環境変動 / 大気現象 / リモートセンシング / 電子デバイス・機器 |
Research Abstract |
本研究は、南米チリ共和国のアタカマ高地に設置した超伝導ミリ波分光計を用い、水蒸気同位体およびオゾンの連続観測を行い、成層圏・中間圏の物理・化学で重要な役割を果たす水蒸気とオゾンの季節変化・経年変化の実態把握とその変動メカニズムを解明することを目指している。平成21年度は、9月に日本のサブミリ波観測機SMILESが国際宇宙ステーション「きぼう」に設置され観測を開始することになったため、比較研究のため、SMILESの最重要ターゲットの一つであり、オゾン層破壊過程の理解に重要なC10の観測に重点をおいた。C10スペクトルは、オゾンスペクトルに比べて強度が2桁程度小さい極めて微弱な信号のため、地上観測で衛星観測と比較できるほどのS/Nのデータを取得するのは、観測条件の優れたアタカマ高地以外では難しい。C10の安定したデータ取得のため、半導体レーザーの発振状態が不安定になる問題を抱えていた音響光学型分光計を、より安定なデジタル分光計に置き換えることとした。そのための制御系インターフェイスの改造とLinux観測プログラムへの変更・整備を行い、装置改良後12月初頭より約1カ月間C10の連続観測を行った。現時点では電波強度の較正等を詰めており、最終的な値には解析は収束していないが、暫定的な解析結果からは、13日分のC10の鉛直分布が導出でき、SMILESの観測結果との比較やアタカマデータ単独でのC10日変化の解析が行えると考えている。また、水蒸気同位体に関しては、今年度は観測時間が十分取れなかったが、250GHz帯のHDOのスペクトルの検出ができている。C10、水蒸気同位体ともに、データ解析までを年度内に完遂することはできなかったが、アタカマ高地以外では観測が困難な微弱な大気分子の連続観測データが取得できた意義は大きい。期間終了後も解析を続け成果を早急にまとめたいと考えている。
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Research Products
(9 results)