2008 Fiscal Year Annual Research Report
イドリヤ旧水銀鉱山(スロベニア共和国)周辺地域における水銀の動態とその環境影響
Project/Area Number |
18404001
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
冨安 卓滋 Kagoshima University, 理学部, 教授 (60217552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 明人 国立水俣病総合研究センター, 疾学研究部, リスク評価室長 (00393463)
井村 隆介 鹿児島大学, 理学部, 准教授 (40284864)
宮本 旬子 鹿児島大学, 理学部, 准教授 (40244222)
大木 公彦 鹿児島大学, 総合研究博物館, 教授 (90041235)
穴澤 活郎 鹿児島大学, 理学部, 准教授 (90325762)
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Keywords | 水銀 / 鉱山 / メチル水銀 / 拡散 / 土壌 / スロベニア |
Research Abstract |
大気輸送による水銀の周辺土壌への拡散と、水銀の土壌中における化学形変化(メチル化)に及ぼす植物の役割を明らかにするために、水平方向及び鉛直方向への土壌中水銀分布を測定するとともに、土壌採取地点周辺において樹木の葉および土壌表層において落葉を採取し、水銀濃度を測定した。総水銀濃度、メチル水銀濃度、総有機炭素量を測定したところ、落葉と生葉の乾重量ベースにおける総水銀濃度は、ほぼ等しかった。また、その葉中の水銀濃度は、水銀鉱山に近い採取点ほど高く、そこから離れるにしたがって低くなった。土壌から葉への水銀の移動はほとんど起こらないと考えられるため、葉は大気中の水銀を濃縮して地表へ落ち、微生物などによる分解により土壌中へ大気中水銀を供給していることが示唆された。一方土壌中の総有機炭素量とメチル水銀濃度の問には相関が見られ、葉とともに土壌へと供給された水銀は、メチル化反応を受けやすい状態にあることも示唆された。一方土壌中の総水銀濃度と総有機炭素量の関係を見ると、鉱山にもっとも近い地点では、これらの間には相関が見られないが、そこから離れるにつれて両者の間に正の相関が示されることがわかった。この結果から、大気から土壌への水銀の供給には、直接的な沈降と、植物の葉による濃縮・落下の二つの経路があることが示唆され、発生源に近いところでは、前者が優勢であり、離れた地点では、後者が優勢になるものと思われる。
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