Research Abstract |
カプアス川流域の基本調査と流域の開発に対する環境アセスメントついて以下のような研究を実施し,流域開発のためのグランドデザインを提示する. 1)水銀汚染,森林破壊が小さな環境破壊の要因になっているが,流域開発計画はこれを遙かに上回る影響を及ぼす行為であり,これに対する環境影響評価を行うための現地調査,基本情報の収集を行う. 2)衛星画像データ,空中写真のランドツルースおよびDEM,土地利用,地質,蒸発散特牲,河床地形,流量,降雨等の地理情報を収集,解析する,原則的には数値モデルによる水循環(降雨,流出,蒸発散),物質輸送および二酸化炭素収支の数値シミュレーションの実施を基盤とした解析を行うが,モデル検証のための水文,気象データの計測,蒸発散,炭酸同化活性の計測を現地で実施する. 3)油ヤシ,ゴムの栽培地域の拡大に伴う陸面モデル係数の変化を調査する. 4)河口の大都市,ポンティアナック市では,近年,熱帯林の破壊が原因と考えられる小さな洪水が多発しており,流域開発による大規模洪水の発生が大きな問題となっている.降雨シミュレーションおよび水文流出解析を実施し,流域環境の変化に対応したハイドログラフを作成する.これによりポンティアナック市および開発核都市のタヤン市の洪水危険度を明確にする. 5)開発に伴う環境保全や防災面での問題点の指摘とあわせて,森林の景観生態学的評価と遺伝子組み換え樹種による森林再生の可能性の両面から,熱帯林の生態学的機能維持に対する基本方針を提示する. 6)流域調査,水文,気象,森林情報収集,水循環,物質輸送数値シミュレーション結果に基づき,流域開発への環境影響評価を行うとともに,州都ポンティアナック市,開発核都市タヤン市の都市環境変化を明示する.最後に,環境影響評価に基づき熱帯林流域開発に対する基本方針を設定するとともに,カプアス川流域開発のグランドデザインを提示する.
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