2007 Fiscal Year Annual Research Report
東部アナトリア地域の歴史的建築遺構における建築技術の交流と特質に関する調査・研究
Project/Area Number |
18404017
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
篠野 志郎 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (20108210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬尾 和大 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (30089825)
元結 正次郎 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 准教授 (60272704)
元木 健太郎 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (60334520)
高橋 宏樹 ものつくり大学, 技能工芸学部, 准教授 (60226876)
黒津 高行 日本工業大学, 工学部, 教授 (20215114)
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Keywords | 中世 / 歴史的建築物 / キリスト教 / イスラーム / 東アナトリア / 架構 / 建築技術 / 地震 |
Research Abstract |
本研究課題の第2年度に当たる平成19年度においては、平成18年度調査に引き続き、当該地域に残存する歴史的建築物の悉皆調査と、一部の遺構に関する重点的調査をそれぞれ実施した。 第1回調査(平成19年6月19日〜7月19日実施)は、トルコ共和国東部に位置するエルズルム、カルス両都市とその周辺を対象地域として、全38棟の遺構を踏査した。具体的には、主たる作業である写真撮影、ビデオ撮影等の現状記録作業のほか、Emir Sartik Kumbeti,Havariler Kilisesi, Cengelli, Katoghike at Aniの各遺構では写真測量を行い、各遺構の詳細なデータを得た。 一方、第2回調査(平成19年9月20日〜10月7日実施)ではUc Kumbetler, Cifte Minare Medresesi, Kale Citadel, Ishan, Dort Kilisesiを対象遺構とし、常時微動の測定を中心とした、歴史的遺構とその立地に関する振動特性データの採取を行った。 上記の現地調査から、既往の研究でも充分明らかにされていない当該地域における遺構の状況を把握できた。実測データに基づき、平面図及び写真測量による立面図を作成したほか、アナトリア地域におけるイスラームの墓廟建築に関する建築形態・建築意匠の特質、同地域およびカフカース地域におけるキリスト教建築のドーム部架構構成の特質について、一定の仮説を提起することができた。さらに、調査対象遺構が有する振動特性を把握した。これらの分析については、平成20年度調査によるデータの拡充と併せて、精度を高めていく予定である。なお、上記の調査成果は、日本建築学会の平成19年度関東支部研究報告集に報告されている。 本研究課題最終年度となる平成20年度では、Havariler Kilisesi, Cengelliなどの一部遺構で平面実測や写真測量、常時微動測定等を重点的に行うほか、これまでの調査で不十分だった点について必要に応じて補足的な調査を実施する。これらのデータをふまえて、建築形態・意匠の分析、振動特性の解析のほか、建築構造の解析を進める予定である。また、10月にはトルコ側研究者を交えたシンポジウムの日本開催を予定している。
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