2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18405007
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡田 典弘 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (60132982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 道雄 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40112552)
二階堂 雅人 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教 (70432010)
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Keywords | シクリッド / 適応放散 / 種形成 / 生息光環境 / 適応 |
Research Abstract |
本年度はビクトリア湖とタンガニイカ湖で野外調査を行い、これらのサンプルの遺伝子解析を行った。 ビクトリア湖の調査は2回行われた。今回の調査ではビクトリア湖に隣接する直径600m足らずの小さな湖、マリンベ湖を重点においた。この湖は小さくビクトリア湖から隔離されたのがここ数十年であるにも関わらず、多くのシクリッドが生息し種分化していることが明らかになった。形態的な分類で少なくとも3種以上は生息しており、祖先系統と予想される種に比べどの種の小型化が起きていることが明らかになった。小さな湖で世代時間を短くするために小型化して適応を起こして来たためだと考えられる。またビクトリア湖で種特異性がみられるLWS遺伝子の解析をマリンベ湖の種で行ったところ、形態的に類似が見られる種と同じLWSアリルを保持することが明らかになった。これらのことからマリンベ湖はビクトリア湖の水位が低下した数十年前にビクトリア湖から隔離され、このわずかな時間でマリンベ湖に適応した新たな種が出現してきたと考えられる。 タンガニイカ湖の調査は12月から1月にかけて行われた。タンガニイカ湖は水深が深いため、幅広い深さから4つの族(科と属の中間の分類群)の種を数多く採集し個体の写真、生態情報、生息環境、DNA抽出用のサンプルが集められた。これらとこれまでに集めたサンプルを用い深さへの適応に重要な視覚の遺伝子RH1について解析を行った。その結果、4つの族がそれぞれ異なった適応の過程を経て進化してきたことが明らかになり、またそれぞれの族で独立にRH1遺伝子の適応的なアミノ酸置換が起こったことが明らかになった。この研究は脊椎動物で最も際立った適応的平行進化の例として論文を作成している。
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