2007 Fiscal Year Annual Research Report
モンシロチョウにおける視覚機能および翅色の地理的変異と進化
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18405008
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
蟻川 謙太郎 The Graduate University for Advanced Studies, 葉山高等研究センター, 教授 (20167232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小原 嘉明 東京農工大学, 農学部, 教授 (60014958)
佐藤 俊幸 東京農工大学, 農学部, 講師 (80242238)
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Keywords | 昆虫 / 進化 / 視覚系 / 配偶行動 / 紫外線 / 複眼 |
Research Abstract |
本研究では、動物の生態と感覚機能の関連を解明することをめざし、翅の紫外線反射の強い日本産モンシロチョウと反射の弱い欧州産モンシロチョウの配偶行動と視覚機能の関連をさぐる実験的研究を行っている。平成19年度は以下の諸点について調べた ●複眼背側領域における個眼多様性:日本産亜種のオス複眼に存在する蛍光個眼(420nmで励起される蛍光物質を含む個眼)が欧州産オスにも存在するかどうかを、18年度に組み立てたテレスコープ光学系で検証し、両亜種に質的な差のないことを確認した。量的な比較を行なうためにまず、日本産亜種で複眼の部域性を調べた。結果、背側個眼にはフィルター色素がないこと、分子生物学的には3タイプの個眼が存在すること、背側と腹側の境界付近に、異なる視物質を重複発現する視細胞を含む特異な個眼があること等が明らかになった。 ●紫外線環境と生殖行動の関連:モンシロチョウの雄は配偶者を雌の翅の色を手がかりにして特定する。しかしその翅色に影響する光環境、とりわけ配偶者特定に重要な紫外線環境は、季節や局所的地理的要因によって変化する。本研究では、この光環境の変化に対する雌の翅の色の変化と、それに対する雄の配偶行動について行動実験を行った。その結果、雌の翅は季節(日長時間の減少=短日化)によって紫外線反射が弱くなること、それに対して短日型の雄の「好み」も、紫外線反射の弱い雌をも配偶者とみなす方向に変化することが分かった。また雌の翅は日向より日陰において紫外色が相対的に強まること、それに対して雄は後者の雌を選好することが分かった。 ●求蜜行動作用スペクトルの測定:モンシロチョウの色覚を、求蜜行動を指標にして調べた。結果、アゲハと同様の色覚があることが証明できた。さらに、波長弁別能を測定するための予備実験として、求蜜行動の作用スペクトルも測定した。
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Research Products
(17 results)