2008 Fiscal Year Annual Research Report
モンシロチョウにおける視覚機能および翅色の地理的変異と進化
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18405008
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
蟻川 謙太郎 The Graduate University for Advanced Studies, 葉山高等研究センター, 教授 (20167232)
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Keywords | 昆虫 / 進化 / 視覚系 / 配偶行動 / 紫外線 / 複眼 |
Research Abstract |
本研究では、動物の生態と感覚機能の関連を解明することをめざし、翅の紫外線反射の強い日本産モンシロチョウと反射の弱い欧州産モンシロチョウの配偶行動と視覚機能の関連をさぐる実験的研究を行っている。平成20年度は以下の諸点について調べた ● 複眼背側領域における個眼多様性:モンシロチョウ日本産亜種のオス複眼背側領域について、個眼多様性を調べた。結果、背側個眼にはフィルター色素がないこと、分子生物学的には3タイプの個眼が存在すること、紫視物質を発現する視細胞が背側には存在しないこと、背側と腹側の境界付近に、青視物質と紫視物質を重複発現する視細胞が存在することがわかった。 ● 紫外線環境と生殖行動の関連:日本産亜種の雄と欧州亜種のオスが、相手の亜種のメスを配偶者 として認知するかどうかを、両亜種のメスのダミーを15cm間隔で並置し,それに対するオスの配偶行動を観察することによって調べた.その結果、両亜種のオスともにそれぞれ自分と同亜種のメスを有意に選好した。 ● 求蜜行動作用スペクトルの再測定:モンシロチョウの波長弁別能測定の予備実験として19年度に行なった求蜜行動作用スペクトルの測定を、単色光の純度を上げ、かつ波長を絞り込んで正確に行なった。 ● モンキチョウ複眼の細胞構成の解析:モンシロチョウと近縁のモンキチョウについて、複眼の細胞構成を調べた。視物質として紫外型1つ、紫型2つ、長波長型1つの計4つが見つかり、その分布をインサイチュ・ハイブリダイゼーションで調べた結果、3タイプの個眼を確認した。3タイプ の個眼は電顕レベルの微細構造観察でも確認した。
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