2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本と北米大陸における第3紀起源ユリ科(広義)植物の比較生活史研究
Project/Area Number |
18405010
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大原 雅 Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (90194274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 一彦 大阪学院大学, 経済学部, 教授 (60121753)
工藤 岳 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (30221930)
工藤 洋 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (10291569)
北村 系子 北海道大学, 独立行政法人森林総合研究所・北海道支所, 主任研究員 (00343814)
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Keywords | 生活史 / 第3紀要素 / ユリ科植物 / 隔離分布 / 種分化 |
Research Abstract |
研究最終年度にあたる平成20年度は、対象植物の繁殖特性および遺伝構造に関するデータを集約・解析を行い、野外調査の他に成果報告も重点的に行った。まず、コロラド州ロッキー山脈の標高3000mに生育する高山性のカタクリ(Erythronium grandiflorum)に関し、消雪時期の変動によってもたらされる開花時期の変動と集団の遺伝構造の関係を調査した。カタクリの結実期に種子を採集し、マイクロサテライトマーカーによる遺伝解析により、開花フェノロジーの差異と花粉親の多様性ならびに自殖率を算出した。その結果、消雪時期の変動により訪花昆虫相の行動パターンに変化が生じ、その結果、花粉流動が制限され、集団内に遺伝的構造が生じていることが明らかになった。また、カナディアンロッキーでは、Harder博士とともに、バイケイソウ(Veratrum viride)に関して、訪花昆虫相の観察ならびに結実調査を行った。 第3紀起源のユリ科植物の比較対象として日本国内において、上記のVeratrum virideの近縁種であるバイケイソウ(Veratrum album subsp. oxysepalum)の繁殖様式と個体群構造の調査を行った。その結果、種子繁殖は、一斉開花するジェネット間の交配により遺伝的に多様な実生を形成するが、実生が開花に至るには長い成長期間要すること、一方クローン成長は、既存のジェネットを維持するとともに、幼植物期間をバイパスし、より早く確実に開花に至るラメットを形成する役割があることが明らかになった。
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