2006 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯・亜熱帯性雑草ツノアイアシの他感作用による雑草制御機構の解析
Project/Area Number |
18405018
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 勝一郎 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 教授 (40087606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山路 恵子 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 講師 (00420076)
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Keywords | ツノアイアシ / 他感作用 / 雑草制御 / マルチ / 熱帯・亜熱帯性雑草 / 他感物質 / 土浄水 / 溶存態 |
Research Abstract |
本課題は、タイ王国東北部の畑作栽培において、熱帯・亜熱帯性畑地雑草ツノアイアシ(Rotteboellia exaltata L.f.)を利用したマルチ(敷き藁)による雑草制御技術に着目し、タイ王国の研究者との協同研究により、現地圃場実験ならびに実験室実験によって、マルチ材として利用した場合の本雑草の他感作用に対する土壌要因の関与ならびに発現機構を解析し、環境負荷の少ない雑草制御技術の発展に寄与しようとするものである。 本年度は、現地圃場の確保および現地圃場におけるツノアイアシの生育および雑草との競合の調査、マルチ使用の予備実験ならびにポット栽培における他感作用の検討や植物体粉末による生育阻害作用について検討した。 得られた成果の概要は、以下のように要約される。 1.現地において、ツノアイアシは、5月初旬に出芽し、6-7月ごろ出穂がみられ、また、生育圃場においては、ツノアイアシ生育により他の雑草の生育が著しく阻害されていた。なお、本マルチ利用による栽培作物としては、カリフラワーが適していることを確認した。 2.本雑草の茎葉部および根部の土壌への粉末処理により検定植物として供試したハツカダイコンの生育を阻害した。また、粉末処理後の時間の経過とともにこうした生育阻害活性は低下した。また、粉末処理土壌から採取した土浄水においても同様な作用が認められた。さらに、こうした生育阻害作用には、pHおよびECによるものでないことを明らかにした。 3.温室内ポット栽培において、本雑草と混植したハツカダイコンの生育は、本雑草株からの距離が近いほど強く阻害された。また、本雑草の生育が進むに伴って生育阻害作用が顕著になった。 4.このような結果から、ツノアイアシによる生育阻害作用は、本雑草の他感作用によることが明らかにされた。また、その作用は、本雑草の生育土壌においても、本植物体を土壌に処理した場合においても、土壌水中に溶存している他感物質によって発現するものと想定された。
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