2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物ウイルスとその宿主植物の起源的同一性に関する調査研究
Project/Area Number |
18405022
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
大島 一里 佐賀大学, 農学部, 教授 (00176869)
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Keywords | ウイルス / 宿主植物 / 起源 / 病理学 / 生態学 |
Research Abstract |
1本鎖RNAウイルスでは、突然変異と組換えがウイルス分子進化の推進力として大きな役割を果たしていると言われている。ウイルスは新しい宿主に対する病原性を獲得後、宿主による圧力を受けながら、起源地から栽培植物と密接に関連し世界中に拡散したと考えられている。平成18年度においては、アブラナ科植物の主な起源地の候補地として考えられている中央アジア地方に位置するトルコ共和国を訪問し、どのような植物ウイルスがアブラナ科植物に発生しているのかを調査した。研究協力者のSavas Korkmaz博士(チャナッカレオンセキツマート大学)と共にトルコ国内のアブラナ科圃場(チャナッカレ、ブルサ、イズミル、イスタンブール、アダナ市等)を巡回調査し、アブラナ科植物にモザイク症状等を呈した罹病植物を200株以上採集した。チャナッカレオンセキツマート大学のSavas Korkmazの研究室に持ち帰り、どのようなウイルスが感染しているのか、市販のカブモザイクウイルス(TuMV)、キュウリモザイクウイルス(CMV)、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の検出キットを用いて、酵素結合抗体法により検定した結果、TuMV、CMVおよびCaMVが感染している罹病植物が見つかり、特にTuMVとCaMVがトルコ国内で流行していることが明らかとなった。一方それらの検出キットでは検出できないウイルスも感染していることが明らかとなった。一部のTuMVについてはゲノム構造を解明し、トルコに見られるウイルスと既に報告した海外のウイルスの分子系統解析から各国のウイルスの関係について考察した。
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