2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物ウイルスとその宿主植物の起源的同一性に関する調査研究
Project/Area Number |
18405022
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
大島 一里 Saga University, 農学部, 教授 (00176869)
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Keywords | ウイルス / 宿主植物 / 起源 / 病理学 / 生態学 |
Research Abstract |
本研究では、小アジアに位置するトルコ、中央アジアに位置するイランさらに地中海地方に位置するギリシャのアブラナ科植物に発生するウイルスをターゲットとして調査し宿主植物との起源性について考察することを目的とした。ウイルスは新しい宿主に対する病原性を獲得後、宿主による圧力を受けながら、起源地から栽培植物と密接に関連し世界中に拡散したと考えられている。平成20年度においては、アブラナ科植物の主な起源地の候補地として考えられている中央アジア地方に位置するイラン・イスラム共和国とギリシャ共和国を訪問し、どのような植物ウイルスがアブラナ科植物に発生しているのかを調査した。研究協力者のFarzadfar博士(農業省イラン国立植物病原体病害研究所)と共にイラン国内のアブラナ科圃場(テヘラン市やシラーズ市郊外等)を巡回調査し、またKatis博士(ギリシャ国立テサロニキ大学)アブラナ科植物にモザイク症状等を呈した罹病植物を100株以上採集した。Farzadfar博士或いはKatis博士の研究室に持ち帰り、どのようなウイルスが感染しているのか、カブモザイクウイルス(TuMV)、キュウリモザイクウイルス(CMV)、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の検出キットを用いて、酵素結合抗体法により検定した。その結果、TuMVおよびCaMVが感染している罹病植物が多数見つかり、夫々の国内で流行していることが明らかとなった。訪問前に採集していただいたTuMVとCaMVについては一部ゲノム構造を解明し、既に報告した海外のウイルスの分子系統解析からウイルスの関係について宿主植物との起源性について考察した。
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