2006 Fiscal Year Annual Research Report
東北アジア地域の肉用牛遺伝資源の開拓とその活用技術の基盤形成に関する調査研究
Project/Area Number |
18405033
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 高弘 東北大学, 大学院農学研究科, 教授 (20111297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 衆介 東北大学, 大学院農学研究科, 教授 (80136796)
鈴木 啓一 東北大学, 大学院農学研究科, 助教授 (10344706)
麻生 久 東北大学, 大学院農学研究科, 助教授 (50241625)
小倉 振一郎 東北大学, 大学院農学研究科, 助教授 (60315356)
渡邊 康一 東北大学, 大学院農学研究科, 助手 (80261494)
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Keywords | 肉用牛遺伝資源 / 東北アジア / 赤肉増産 / 次世代型肉用牛 / 環境負荷軽減 |
Research Abstract |
近い将来、中国、韓国を中心とする近隣諸国の食生活の向上に伴い、日本を取巻く食肉の需要と供給のバランスは大きく変化する。とりわけ、日本を含む東北アジアの牛肉の需要は著しく拡大することが確実視されている。この地域では牛肉の消費量は持続的に増加し、供給量が追いつかず、牛肉不足は食生活のみならず経済的にも大打撃を与えることが予想される。このことを解決するには、東北アジア地域での肉用牛遺伝資源の開発と牛肉の持続的増産の基盤整理を長期的展望に立ち実施することが不可欠である。本研究はこのような視点から、東北アジア地域での予測される牛肉不足を解決し、かつ消費者のニーズに応える赤肉増産を持続的に行うための基盤構築の調査を目的とする。このことはわが国の近い将来の牛肉需要増加の解消と安定的な食生活を維持する上できわめて重要である。本海外学術調査研究は東北アジア地域、中国と韓国での専用肉用牛資源の学術調査とわが国の日本短角種種牛の寒冷地適反調査とその東北アジア地域での活用評価調査から構成される。 平成18年度の調査結果は以下の通りである。 1.中国での専用肉用牛資源の学術調査を、中国農科大学(北京)のQing-Xiang Meng教授と揚州大学(揚州)のGuohung Chen教授に依頼し、平成18年7月(揚州市、北京市)と10月(長春市、西安市)に2回実施した。中国では、在来固有の黄牛(Chinese Yellow Cattle)と国外肉用牛の交雑種の産肉特性、肉質特性、繁殖性、放牧適性など、可能な限りの調査を行った。また、文献調査もあわせて行った。 2.韓国の建国大学(ソウル)のByong-Tae Joen教授に依頼し、平成18年7月に韓国の韓牛研究所と繁殖ならびに肥育農家で韓牛(Hanwoo Korean Native Cattle)の学術調査を行い、専用肉用種遺伝資源としての評価を詳細に解析した。 3.平成18年6月に企画会議を開催し、調査メンバーを決定し、中国と韓国の肉用牛を調査した。調査結果を整理し、仙台で平成19年3月に調査参加メンバーによる合同検討会を開催し、東北アジア地域での活用可能な専用肉用遺伝資源の詳細な分析と解析を行った。日本短角種牛と中国の草原紅牛が寒冷地活用牛として、国際的に高度活用が有望視される候補牛としての絞込みが行われた。 以上のように、本年度の研究計画は、予定通り実施された。日本短角種牛と中国の草原紅牛は、欧州の専用肉用種が交雑されていることから、放牧適性、草資源利用特性、飼料効率性、環境負荷等を調査するため、次年度は欧州での専用肉用種の調査が必要であるとの結論が得られた。
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