Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舟川 晋也 京都大学, 農学研究科, 准教授 (20244577)
矢内 純太 京都府立大学, 農学研究科, 准教授 (00273491)
谷 昌幸 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (00271750)
真常 仁志 京都大学, 農学研究科, 助教 (70359826)
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Research Abstract |
平成19年度には,カザフスタン国北東部アルタイ山脈の中・高標高地およびフィンランド国において,土壌有機物蓄積量に関するデータ収集を目的とした広域土壌調査を行った。 アルタイ山脈北西部では,低標高草地において成帯性土壌としてKastanozems(KS), Chernozems(CH)が分布したのに対し,同南東部では乾燥地帯(Calcisols(CL)分布域)から草地帯(KS, CH分布域)への移行が標高500m付近で見られ,より東方でステップの下限が上昇する傾向を示した。また北西部では,500〜1,500mにかけて落葉広葉樹,ついで針葉樹林下にLuvisols(LV)が出現し,さらにより高標高帯ではUmbrisols(UM), Cambisols(CM)が分布した。一方南東部ではLVの分布を欠き,KS, CHを経て,1,600〜1,800m以高では主として酸性のCMが分布した。このようにアルタイ山脈では,偏西風の影響を受けて西側でより湿潤であり,東方へ向けて乾燥するといえる。 一方フィンランド国においては,全土において排水の良好な地点にPodzols(PZ)が,排水の不良な相対標高の低い地点や岩体上にHistosols(HS)が分布した。さらに氷河地形がPZの性質に影響していた。すなわちモレーン,砂質堆積物,粘土質堆積物上に出現したPZ間で,土壌の炭素含量や粒径分布等に差異が生じていた。高緯度になるにつれ植物生育の抑制が観測されたが,氷河地形に比べPZの性質に与える影響は小さかった。 以上観察された寒冷地における土壌分布の成帯性に基づき,現在土壌有機物蓄積分布図を作成するとともに,各生態区における土壌有機物動態を解析中である。
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