2006 Fiscal Year Annual Research Report
ユニークなセレン代謝能を持つ生物の学術調査・探索と環境浄化への応用
Project/Area Number |
18405042
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江崎 信芳 Kyoto University, 化学研究所, 教授 (50135597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 達夫 京都大学, 化学研究所, 准教授 (70243087)
三原 久明 京都大学, 化学研究所, 助教 (30324693)
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Keywords | セレン / 代謝 / 微生物 / 必須微量元素 |
Research Abstract |
特殊なセレンタンパク質を持つ微生物を探索した。鉄還元性偏性嫌気性細菌であるGeobacter属細菌は、地下水に溶解したウランを除去する能力を持ち、エネルギー代謝の一環として電子を輸送し金属イオンを還元するという類い希な能力を示す。そのため、バイオレメディエーション、生物燃料電池、ナノテクノロジーなどの分野で注目されている。研究代表者らは、Geobacter sulfurreducensに全く新たなc型シトクロム様セレンタンパク質が存在する可能性を見出した。G.sulfurreducensのGSU2937-GSU2936は、ストップコドンよりも上流のORFによりコードされるN末端側にヘムを結合する可能性のあるCXXCHモチーフを5つ持つ。しかし、マルチヘムタンパク質として知られるcytochrome c nitrite reductaseやhydroxylamine oxidoreductaseとのアミノ酸配列一致は12%に満たないことから、これらとは異なる機能を持つ新規タンパク質であると考えられた。一方、ストップコドンよりも下流のORFによりコードされるC末端側のタンパク質は機能既知のタンパク質とは有意な相同性を示さない機能未知タンパク質であった。そこで、GSU2937-GSU2936の間にあるUGAコドンのリードスルーの有無および挿入されるアミノ酸の分析を行うために、PCRにより本遺伝子を含むDNA断片を取得し、大腸菌内で発現させ、SDS-PAGEおよび75Seによるラベリング実験を行った。また、western blot解析により、G.sulfurreducensにおいて、GSU2937-GSU2936のリードスルー産物が存在するか調べた。その結果、GSU2937-GSU2936の間にあるUGAコドンはセレノシステインのコドンとして機能し、本タンパク質はリードスルー産物として存在することが示された。
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Research Products
(4 results)