2006 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯アジア(インドネシア)における集水域生態系の持続的利用と農業生産
Project/Area Number |
18405043
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
増永 二之 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (10325045)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 育郎 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (60227022)
松本 真悟 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (00346371)
|
Keywords | インドネシア / 持続的農業 / 緑の革命 / 水田土壌 |
Research Abstract |
1960年代から始まった「緑の革命」が、いくつかの不利な効果を農地にもたらしたことが近年多くの国々で報告されているが、インドネシアにおいてはそのような調査はこれまでに行われていない。本研究は、インドネシアの水田土壌における「緑の革命」の効果を評価するために、水田土壌特性に及ぼす「緑の革命」技術の長期的影響に関する研究をインドネシアの稲作の先進地であるジャワ島で行ったものである。1970年に川口・久馬京都大学名誉教授によって採取された土壌を比較対象とし、2003年に同地点ないしその付近から採取した土壌(合計40地点349試料)の分析比較を行った結果、次のことを明らかにした。土地利用管理方法の違いの効果を調べるために、継続して稲の単一栽培が行われてきたseedfarmと、稲と穀類の輪作が行われてきたnon-seedfarmの水田土壌の分析結果を比較解析した。1970から2003年の間、全炭素と全窒素はそれぞれ平均で3190から40.42Mg ha^<-1>、3.04から3.97Mg ha^<-1>に増加し、耕作頻度の増加と稲生育向上による稲わらや根部など土壌への有機物供給の増加が原因と考えられた。Seedfarmとnon-seedfarm間の土地管理方法の違いは、1970年から2003年の期間で0-20cm層の全炭素と全窒素含量の変化に影響していた。稲作のみが行われてきたSeedfarmの0-20cm層で、全炭素含量は34.50から3924Mg ha^<-1>、全窒素含量は3.16から3.95Mg ha^<-1>に増加した。Non-seedfarmでは、全炭素は29.77から41.37Mg ha^<-1>に、全窒素は2.94から3.98Mg ha^<-1>へとseedfarmよりも多く増加した。0-100cm層においても同様の傾向であった。 現地での集水域調査においては、西ジャワ州のcitarum集水域において、山岳地域の水源から低地水田地帯にかけて、各地形面、土地利用におうじて土壌採取を行い、さらにCitamm川の本・支流および灌概水路から水試料を月一度の頻度での継続的なサンプリングを開始した(平成19年8月まで継続予定)。これにより、調査集水域内の土壌及び水中の各種養分の動態を解析できる。
|
Research Products
(3 results)